作:カトウシンジ 出版:出版ワークス
美味しそうなお菓子の数々に、つい引き寄せられてしまうお菓子屋さん。
でも、お菓子を置いていない変わったお菓子屋さんがありました。
そこはクマとウサギが営むお店。
一体何を売っているのでしょう。
あらすじ
クマのモグモグと、お手伝いのウサギのピョン。
二人はお菓子屋さんを営んでいました。
しかし、このお店にはケーキが売っていないお店でした。
開店して少しするとヤマネさんがやってきて、マドレーヌを作る材料を欲しがりました。
モグモグは小さなマドレーヌミックスをヤマネさんに渡しました。
次にゾウさんらしき鼻が入ってきました。
ゾウさんらしき鼻は大きなケーキを作る材料を欲しがりました。
モグモグは50倍膨らむシフォンケーキミックスを渡しました。
その後もお客さんが来るたびに、モグモグは注文に合わせたお菓子作りの材料を渡していきました。
そんなある日、モグモグの店の年に一度のセールの日がやってきました。
しかし、大忙しでお客さんにプレゼントするお菓子が無くなってしまいました。
昼休みにモグモグとピョンと手伝いに来てくれたパティシエは、大急ぎでプレゼント用にマフィンを作っていきました。
なんとかオーブンに入れて、一安心していると・・・。
なんと、オーブンの中のマフィンがどんどん膨らみ、オーブンからはみ出してきたのです。
どんどん膨らんだマフィンは、窓から飛び出し、空にふわりと浮かびました。
慌てて、ピョンがマフィンに掴まりました。
ピョンにモグモグが、モグモグにパティシエが、パティシエにお客さんが次々掴まり、みんなマフィンとともに空の上へ。
空を漂っていると、太陽さんに会いました。
太陽さんはマフィンに手を近づけて、こんがり焼いて仕上げてくれました。
そして、そのまま夕方になったので眠ってしまいました。
マフィンは美味しくなりましたが、降り方はわからずじまいでした。
夜になり、マフィンが何かにぶつかりました。
それはお月さまでした。
お月さまなら、なにか降りる方法を知っているでしょうか。
みんなは無事に帰ることが出来るのでしょうか。
『モグモグのおかしやさん』の素敵なところ
- モグモグが取り出す、魔法のようなお菓子の材料
- クレヨンで描かれたかわいらしく親近感の湧く絵
- のんびりほっこりした雰囲気と展開
お菓子を置いていない、世にも不思議なモグモグのお菓子屋さん。
そこではお客さんの注文に合わせた、お菓子の材料が出てきます。
その使い方やアレンジの仕方もモグモグが教えてくれるので、お客さんも見ている子どもたちも、出来上がりのイメージが湧いてきます。
そのどれもが美味しそうで、楽しそう。
50倍膨らむシフォンケーキミックスや、1分で皮が出来るシュークリームミックス、食べた人が必ずおいしいと思う魔法のケーキミックスなど、作ってみたいと思うものばかり。
そんなお店や商品、登場人物をはじめとしたこの絵本の絵は、クレヨンを基調に描かれています。
そのためか、とても親近感や温かさを感じるのです。
あえて、クレヨンとわかる線を残したり、塗り方をしているからかもしれません。
この絵と、お話の展開が相まって、この絵本はすごくほのぼのとした雰囲気に仕上がっています。
そこがとっても魅力的。
モグモグとお客さんとのやり取りはもちろん、マフィンとともに空を漂っている時も、どこかのんびりほのぼのしているのです。
解決策や結末も、このほのぼのとした雰囲気にピッタリな展開で、最初から最後まで癒されます。
色々な出来事がありつつも、常にほのぼのとした雰囲気を一貫して感じる。
一風変わったお菓子屋さんの絵本です。
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