文:木坂涼 絵:辻恵子 出版:福音館書店
いつも一緒の影。
同じ動きをしているようで、伸びたり、縮んだり、消えたり、揺らいだり。
実は不思議がいっぱいの影。
そんな影の不思議を改めてよーく見てみる絵本です。
あらすじ
ぼくと影はいつも一緒にいる。
ぼくが走ると影も走る。
ぼくがすべり台に登ると、影は離れる。
でも、すべり台を降りると、影はくっつく。
プールの中の影はゆらゆら。
ぼくが水に飛び込むと、影は粉々。
階段ではママの影はかっくんかっくん。
でも登ると影はまっすぐ。
他にも影は、伸びたり、消えたり、色々な姿を見せてくれる。
『かげはどこ』の素敵なところ
- よくよく見ると不思議がいっぱいの影
- 「ぼく」目線で描かれる「教える」ではない「発見」
- わかりやすくリズミカルな文章
普段当たり前のように一緒にいる影。
いつも同じ動きをしているようで、実は不思議がいっぱいです。
時に伸びたり、縮んだり、消えたり、立ち上がったり。
この絵本はそんな影に焦点を当てることで、その性質の不思議に気づかせてくれます。
読む前と後では、影に対する見方が変わるでしょう。
「本当に伸びてる!」
「ここだといなくなるよ」
など、自分で実験をしだす子も多いです。
そんな視野を広げてくれる内容ですが、「教える」ではないのも素敵なところ。
この絵本は常に「ぼく」という一人称で描かれます。
「ぼく」が気付いた「発見」なのです。
だから、「ぼく」の発見を元に、色々な影の性質を発見していくのもこの本を見ている「ぼく」や「わたし」なのです。
だからこそ、試してみたくなるし、新たな発見で盛り上がるのです。
もう一つの素敵なところは、わかりやすくリズミカルな文章です。
「すべると ぱっ かげくっつくよ」
「みていろ ばっしゃん かげ こなごな」
など、耳に心地よく、聞いているだけで楽しくなってきます。
また、擬音がところどころに使われて、本当にその動きをしているように感じられるのです。
「ぼく」視点で描かれているので、文章もわかりやすく、一緒に発見を楽しんでいる気分にもなります。
一緒にいるのが当たり前の影に焦点を当て、その面白さを一緒に「発見」出来る絵本です。
コメント