作:ナカオマサトシ 絵:服部美法 出版:佼成出版社
寝る時間になっても「まだ、寝たくない!」という子は多いはず。
そんな子どものような、ねむたくない仙人。
300年も寝ずに遊んでいるのです。
そんな子どもも仙人も、一緒に眠くなってしまうお話です。
あらすじ
あるところに仙人たちが住む、仙人村がありました。
そこに住む仙人たちは、何かの道を究め仙人になった人たちでした。
その中に、ねむたくない仙人がいました。
辛い修行を耐え抜き、ずっと寝ないで起きていられるようになったのです。
眠るのがもったいなくて、一日中好きなことをしていたいのです。
ある日、ねむたくない仙人はお昼寝仙人の所へやってきました。
そこで話していると、お昼寝仙人が最高級のパジャマと布団が余っているからあげると言い出しました。
ねむたくない仙人は断り切れず、ひとまず持って帰ることにしました。
家に帰ったねむたくない仙人は、布団とパジャマが妙に気になって仕方ありません。
とりあえず、触ってみることにしました。
するととってもフワフワです。
それから、パジャマにも着替えてみました。
肌触りがとてもいいです。
そして、ちょっとだけ布団に入ってみることにしました。
とてもふかふかでした。
ねむたくない仙人が布団でゴロゴロしていると、大きなあくびが出てしまいました。
久々のあくびにねむたくない仙人はびっくり。
なんとか眠気を覚まそうと、頬をつねったり、面白い本を読んだりしてみます。
果たして、ねむたくない仙人は眠気を吹き飛ばすことが出来るのでしょうか。
『ねむたくないせんにん』の素敵なところ
- 「押すなよ押すなよ」的な面白さと盛り上がり
- 布団も寝るのも気持ちよさそうで眠くなる
- たくさん描き込まれた本編以外の楽しみ
この絵本には予定調和な面白さがあります。
まるで往年の「押すなよ!絶対に押すなよ!」のようです。
それは布団をもらったところから始まります。
布団が気になっている所から、子どもたちは結末を察し始めます。
布団を触って、パジャマに着替え始めたあたりで確信します。
そして、ねむたくない仙人が一歩一歩布団に近づいていくたびに言います。
「ダメダメ!寝ちゃうよ!」
あくびが出ようものなら
「ほらー!眠くなってきちゃった!」
もうそこからは結末を疑う子はいません。
「やっぱり、寝ちゃったじゃーん!」
この予定調和なフリと結末が、面白いように盛り上がるのです。
同時にこちらにも眠気が伝染します。
布団と触れ合う姿が、物凄く気持ち良さそうなのです。
布団のフワフワ感とふかふか感が十二分に描写され、すぐに布団にくるまりたくなるのです。
きっと「眠たくない」と言っている子でも、ねむたくない仙人のように布団は気になってしまうことでしょう。
また、本編以外にも色々なところに楽しさが散りばめられているのも、素敵なところです。
まずは仙人村にどんな仙人が住んでいるかの仙人図鑑。
本編の中にも所々にそれぞれ生活しているので、図鑑でどんな仙人か知っているとその行動の理由などもわかって面白いのです。
仙人たちの家にも色々なものがあります。
ねむたくない仙人の家の遊び道具の数々。
お昼寝仙人の家の週間予定など、よく見るとその仙人の考え方や習慣がわかる要素が盛り沢山なのです。
そういうものを発見して、想像を膨らませるのもこの絵本の素敵な楽しみ方だと思います。
眠たくない子も仙人も思わずあくびをしてしまう。
そんななむたくなる絵本です。
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