作:上野与志 絵:末崎茂樹
ホットケーキを焼くと甘くてとってもいい匂い。
匂いにつられて、動物たちもやってきます。
まるで本当にホットケーキの匂いがしてくるような。
お腹が鳴ってしまう絵本です。
あらすじ
お母さんが、女の子みこちゃんにホットケーキを焼いてくれました。
みこちゃんが食べようとしていると、
「くんくんくん、いいな、いいな、いい匂い」
と黄色い鼻がドアからのぞいています。
ドアを開けてみると、キツネさんでした。
キツネさんにもホットケーキをわけてあげることにしました。
すると、そこへ、
「くんくんくん、いいな、いいな、いい匂い」
と、ピンクの鼻がドアからのぞいていました。
ドアを開けてみるとブタさんでした。
ブタさんにもホットケーキをわけてあげることにしました。
その後も、小さな鼻や、長い鼻が現れて、
「くんくんくん」
いつの間にか、食卓は賑やかになっていました。
でも、食べたらみんなすぐに帰ってしまい、みこちゃんはちょっと寂しい気分に。
しかし、しばらくするとドアの隙間からなんだかいい匂いがしてきます。
一体何の匂いなのでしょう。
『くんくんくん』の素敵なところ
- 最初に見開きいっぱいのホットケーキ
- わかりやすい繰り返しと、ドアを開く仕掛け
- 匂いの幅を広げてくれる最後の場面
この絵本は始まった瞬間、焼き立てでバターのとろけるホットケーキが目の前に広がります。
「くんくんくん」と匂いを嗅げば、本当に甘い匂いがしてきそうなほど美味しそうに描かれているのです。
この時点で、子どもは絵本に釘付けです。
「たべたーい!」とうっとりしたり、食べる真似をしてみたり。
そんなホットケーキをみこちゃんが食べようとすると、匂いにつられたお客さんが現れます。
この時、誰が来たかは鼻の先でしかわかりません。
子どもたちはこのクイズ形式に大盛り上がり。
「キツネさん!」「ブタさん!」と答えていきます。
また、鼻が出てくる時の決まり文句、
「くんくんくん、いいな、いいな、いい匂い」も耳に残ります。
そんな繰り返しには一つの仕掛けがあります。
それがなんの動物かの答え合わせです。
この絵本はドアの部分が開く仕掛けになっていて、クイズのあとに本当にドアを開けられるのです。
自分で見る時には、まるで本当のドアを扱うように、開け閉めする姿が見られます。
そして、ホットケーキから始まったいい匂いですが、美味しそうな匂いだけで終わらないのも素敵なところ。
「いい匂い」は食べ物だけじゃなくて、他にも身近にあることへと視野を広げてくれるのです。
これを聞いて、「あ、あれもいい匂いだよね」のように、いい匂い探しが始まったりもします。
色々ないい匂いを、本当にいい匂いがしてきそうな温かな絵と、楽しい仕掛けで味わえる絵本です。
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