作:アーノルド・ローベル 訳:こみやゆう 出版:好学社
動物園にいるかわいい動物たち。
そんな動物たちと、仲良くなって遊んでみたいと思ったことはないでしょうか?
でも、仲が良すぎても大変みたい。
仲の良さが引き起こす、ちょっと迷惑で、心温まる絵本です。
あらすじ
おじさんのマスターさんは、天気のいい日にいつもお気に入りの動物園へ出かけます。
マスターさんは動物が大好きで、動物たちもマスターさんが大好きです。
マスターさんは一日中動物園で過ごします。
そして、夜になり動物園が閉まる時間になると、マスターさんも動物たちも悲しい気持ちになります。
お互いにさよならを言うのが嫌だからです。
また、天気が悪い時も悲しい気持ちです。
天気が悪い時は動物園に行けないからです。
そんなある日、飼育係のおじさんがベンチでうとうとしている隙に、ゾウが檻のカギをこっそり抜き取りました。
その夜、動物たちの檻を開け、みんなでマスターさんのマンションへこっそり忍び込みました。
マスターさんはチャイムの音でドアを開けてみてびっくり。
そこには動物園の動物たちがいたのです。
マスターさんは動物たちを部屋に招き入れました。
翌日、飼育係のおじさんは檻を見てびっくり。
動物たちがみんないなくなっていたのです。
警察も出動し、動物の捜索が始まりました。
一方、マスターさんのマンションでは色々なところから動物の目撃報告が上がりました。
そして、誰かが通報したことで、ついに警察がマスターさんの部屋までやってきました。
警察が来た時、マスターさんは動物たちとおやつを食べるところでした。
警察や、飼育係のおじさんが動物園に帰るよう動物たちに言うと、動物たちは嫌がり隠れて出てきません。
一体、マスターさんや動物たちはどうなってしまうのでしょうか。
『マスターさんとどうぶつえん』の素敵なところ
- 相思相愛過ぎるマスターさんと動物たち
- 動物たちの様子がかわいい
- 迷惑だけどほっこりする物語
仲のいいマスターさんと動物たち。
その相思相愛っぷりがこれでもかと描かれています。
マスターさんが嬉しいと、動物たちも嬉しいし、マスターさんが悲しいと、動物たちも悲しいです。
マスターさんが会えなくて恋しいと思っていれば、動物たちもマスターさんを恋しがる・・・。
と言った具合に、もうお互いを想い過ぎているのです。
そんな動物たちの行動がまたかわいく描かれているのも微笑ましいところです。
マスターさんが動物園に来ると、ゾウはパオーンと鳴き、ライオンはガオーと吠え、サルはキーキー鳴きと大歓迎。
さよならをする時は、物凄く悲しそうな表情で、マスターさんに再開した時は嬉しそう。
おやつを食べる時などは、行儀よく席について待っています。
また、目撃される時の様子もかわいく、通路からカバが顔を出していたり、エレベーターからゾウが鼻をのぞかせていたりと、迷惑だけど憎めません。
そんな動物たちとマスターさんのほのぼのとした姿があるので、けっこうな大事件にも関わらず、なんだかのんびりしているのです。
さて、仲の良さが引き起こすちょっぴり迷惑な大事件。
子どもももちろん迷惑なのはわかります。
動物園が閉まる別れの場面では
「かわいそう・・・」
と言っていても、鍵を持って檻を抜け出す場面では
「え!?だめだよ!」
と焦ります。
ついにマスターさんの部屋までたどり着くと
「本当に来ちゃった・・・」
と心配な声。
色々な気持ちが渦巻く中、警察が来ての最後の場面。
ドキドキの中、すっかりまるく収まって、子どもたちも一安心。
「よかったね!」
と、みんな納得のほっこり感で終わります。
けっこうな大事件ながら、マスターさんと動物たちの仲の良さで終始ほっこり。
ちょっぴり迷惑で、とっても平和な絵本です。
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