再話:A.トルストイ 画:佐藤忠良 訳:内田莉莎子
色んな年齢層、発達段階、どんな子たちでも一緒に盛り上がりたい。
そんな時にはこの絵本の出番です。
「うんとこしょどっこいしょ」のフレーズで、あっという間に一体感が生まれます。
ただカブを抜くだけなのに、まるで魔法のような絵本です。
あらすじ
おじいさんがカブを植えると、とてつもなく大きなカブが出来ました。
おじいさんはカブを抜こうとしますが大きすぎて抜けません。
そこでおばあさんを呼んできました。
今度は二人で抜こうとしますがやっぱり抜けません。
そこで今度は孫をと、どんどん仲間を呼んで引っ張っていきます。
一体このカブはいつ抜けるのでしょうか。
『おおきなかぶ』の素敵なところ
- 繰り返しのわかりやすい話
- 真似しやすいリズムとフレーズ
- 実はおじいさんの動きがユーモアたっぷり
カブが出来て、ひたすら引っ張り、抜くだけという簡単なお話はどんな年齢の子にもわかりやすいので、楽しむためのハードルを一番下まで下げてくれます。
また、繰り返しによって次の展開がとってもわかりやすく、イメージもしやすいです。
そして、この絵本の魅力と言えば、一発で覚えてしまい、真似したくなるリズムとフレーズです。
カブを抜く時の「おばあさんがおじいさんを引っ張って、おじいさんがカブを引っ張って」からの「うんとこしょどっこいしょ」は芸術的と言えます。
話し始めの一歳児も含め、みんな動きをつけて真似をするのですから。
その一体感は本当にすごく、集団に読む絵本の到達点ではないかと思うほどです。
それとこの絵本、実はおじいさんがとっても表情豊かな動きをしているのを知っているでしょうか。
カブが出来ると笑顔で親指を立てグッドポーズ。
孫が来ても抜けないとカブに背中を預けて体操座りでしょんぼり。
さらに抜けないとごろんと寝転んでしまいます。
これが年齢層高めの子たちに読むと結構ウケます。
ぜひこの絵本の魔法を味わってみてください。
『おおきなかぶ』のおすすめの読み方
- 文章のリズムを大切に
- 言葉に動作を混ぜていく
- ところどころに一工夫入れていくと楽しい
よくみかけるもったいない読み方があります。
それは「おばあさんがおじいさんを引っ張って」などの「うんとこしょ」の前のフレーズをリズムを無視して読んでしまっている読み方です。
この絵本の大事な繰り返しのリズムが台無しになってしまいます。
「おばあさんがおじいさんを引っ張って」「おじいさんがカブを引っ張って」それぞれのフレーズをテンポよく一定のリズムで読んでいきましょう。
これが出来ているかどうかで子どもの反応が変わります。
出来ていると子どもが自然に真似をしますが、出来ていないと合わせられないので自然と口が閉じてしまいます。
また、「うんとこしょ」で引っ張る動作を入れたり、「まだまだ抜けません」で手をひらひらさせるなど動作を入れると盛り上がります。
ただ、動作が大きすぎて絵本が大きく揺れたりして見にくくならないように注意しましょう。
普通に読むだけでも楽しいですが、色々なところに対話も入れていくのもまた面白かったりします。
鉄板なのが「抜けません」の後に「抜けないね。どうしよう?」と聞いてみると、「孫を呼ぶ」など声が上がるので、「じゃあ、呼んでみて」と子どもに呼んでもらう方法です。
あとは最後の「うんとこしょ」を「もう一回!」と促すと、みんな全力で「うんとこしょ」をやってくれるので盛り上がります。
抜けた後に「何にして食べる?」など、その後の話につなげても楽しいですね。
ぜひ自分の読み方を編み出してみてください。
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