みんなそれぞれ(4歳~)

絵本

作:tuperatupera 出版:PHP研究所

大人も子どもも、人も動物も、巨人も小人もみんなそれぞれ。

顔も形も動き方もみんなぞれぞれ。

みんなそれぞれだから、この世界は面白い。

あらすじ

みんなそれぞれ「歩く」。

男の子が張り切って歩く。

鳥が歌いながら歩く。

巨人が踏まないように歩く。

それぞれ色々な歩き方。

みんなそれぞれ「とぶ」。

虫がぴょんと跳ぶ。

風船がふわりと飛ぶ。

魔女がなにかを企みながら飛ぶ。

それぞれ色々なとび方。

みんなそれぞれ「走る」。

亀が自分のペースで走る。

警察が何とか捕まえたいので走る。

泥棒が出来れば捕まりたくないので走る。

それぞれ色々な走り方。

みんなそれぞれの「伸びる」「泳ぐ」「迷う」「隠れる」「踊る」「食べる」「見る」がある。

『みんなそれぞれ』の素敵なところ

  • 色々な「みんな」の、色々なそれぞれ
  • たくさんの豊かな形容詞
  • ページ内のそれぞれが緩く関連しあっている

この絵本は「歩く」「とぶ」などのカテゴリーごとに、それぞれ3ページずつ描かれています。

その中には色々な「みんな」の、それぞれの歩き方や、走り方が出てきます。

その「みんな」は現実の色々な生き物から、巨人や魔女のような空想の生き物まで様々です。

この様々な種族が出てくることにより、人間の枠を超え、世界のそれぞれを感じさせてくれます。

そして、単純に見ていて面白いのです。

さて、言葉遊びの要素があるこの絵本。

ベースは普段当たり前に使っている言葉たちです。

ですが、この絵本には様々なバリエーション豊かな形容詞が、ふんだんに使われています。

「必死に」「息をひそめて」「欲張って」「すくすく」「ぐんぐん」などなど、様々な言葉が前に着くと、いつも使っている言葉も全然違うもののようです。

また、「すくすく」伸びると「ぐんぐん」伸びる。

「ぴょん」と跳ぶ、「ぴょーん」と跳ぶ。

など、ニュアンスで使い分ける言葉もたくさん出てきます。

これらもわかりやすい絵で描かれていることで、とてもわかりやすく頭に入ってきます。

それぞれの言葉がこの象徴的な絵と組み合わさって、生きた言葉として読み手に届くのです。

さらに、それぞれの言葉と絵がページ内で緩く繋がり合っているのも、この絵本の魅力的なところです。

決して言葉遊びだけで終わらないのも、この部分があるからこそ。

「バスが待たずに走る」「乗ろうとしている人が慌てて走る」

「ライオンが狙いを定めて隠れる」「ウサギが息をひそめて隠れる」

「伸びる」のカテゴリーでは、伸びたピノキオの鼻の上で展開される。

など、緩く繋がり、そこに緩い物語性があるのです。

それにより、読んでいて飽きず、言葉の羅列に終わらない、物語としての面白さもあるのです。

それぞれの種族、それぞれの言葉、それぞれの動き、それぞれの違い。

それらたくさんのそれぞれを、目と耳と頭と心で感じさせてくれる絵本です。

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