じごくにアイス(4歳~)

絵本

作:ナカオカマサトシ 絵:澤野秋文 出版:ひさかたチャイルド

冷たくて美味しいアイスクリーム。

これを地獄で作ったら、鬼や閻魔様はどんな反応をするでしょう。

人間のアイス屋さんが、地獄でアイスを作るという前代未聞の挑戦が始まります。

あらすじ

あるところに、美味しいと評判のアイス屋さんがありました。

店主の名前はこたろう。

いつも車で来て、公園にお店を開いています。

女の子がアイスを買いに来たので、準備をしようとしたその時。

足を滑らせ、こたろうは転んで頭を打ってしまいました。

気が付くと、こたろうは三途の川岸にいました。

船に乗ると、船頭の鬼がこれから閻魔様の所に行くのだと言います。

こたろうは自分が死んでしまったことに気が付きました。

閻魔様の所に行くと、なにやら大騒ぎです。

閻魔様も鬼たちも慌ててどこかへ走っていきます。

運の悪いことに一人の鬼の金棒に、こたろうの服が引っ掛かり、一緒に連れていかれてしまいました。

到着したのは窯湯で地獄。

屁こき鬼の屁に火がついて、それが地獄のかまどに燃え移ってしまったのです。

そして、かまどは大爆発。

火の粉が地獄中に飛び散ってしまいました。

鬼たちは三途の川から水を汲んで、火を消していきます。

こたろうも手伝わされて、働きます。

数時間後なんとか火が消えました。

みんなくたびれて休んでいると、一匹の鬼が「冷たいもんでも食べたいなぁ」と言いました。

するとこたろうが「アイスっていう、暑さを吹き飛ばす食べ物作れるで」返します。

そこで、鬼たちも手伝いアイスを作ることになりました。

まずは材料集めです。

マッドホルスタインの乳を搾り・・・

デラックスプテラノドンの卵を取ってきて・・・

氷地獄でアイスを冷やす氷を採掘します。

命がけの材料集めも終わり、いよいよアイスづくりの始まりです。

そして、完成した地獄のアイスクリーム。

その美味しさに、あっという間に鬼の行列が出来ました。

みんなにアイスを配っていると、慌てて走ってくる走り鬼の姿が。

閻魔様がこたろうを呼んでいると言うのです。

一体何事でしょうか。

それに、こたろうはずっと地獄でアイス屋さんをすることになるのでしょうか。

『じごくにアイス』の素敵なところ

  • 不可抗力で巻き込まれていくドキドキの展開
  • 命がけのアイス作り
  • 美味しさに思わずとろける鬼の表情

この絵本ではアイス屋さんのこたろうが、偶然転んで死んでしまったのをきっかけに、こたろうの意思とは無関係に話が展開していきます。

あの世で目覚め、閻魔様の所に行くと金棒に服が引っ掛かり地獄へ。

そこでも、人手が足りないため火消しを手伝わされてしまいます。

このひたすら流されていく展開には子どもたちも「えー!?」の連続。

「えー!?死んじゃったの!?」

「地獄に連れていかれちゃったよ!」

「こたろう、大丈夫かな・・・」

とドキドキと心配の声。

しかし、後半はアイス屋さんの本領発揮で、こたろうが流れを作っていきます。

でも、地獄でのアイス作りは一筋縄ではいきません。

人間界のように平和な動物はいないのです。

牛乳も、卵も、凶暴な動物たちから手に入れなくてはなりません。

それはまさに命がけ。

鬼たちと協力してなんとかそろえていく様は、まさに地獄冒険です。

そんな苦労の末に手に入れた材料でアイスを作り始める姿は、本当に楽しそう嬉しそう。

歌を歌いながらご機嫌で作っていきます。

そして・・・。

完成したアイスを見開き1ページ使って、黄色鬼が「ペロ~ン!」

からの「あぁー!うまいっ!」

このとろけそうな表情に、見ている方の口の中にも濃厚なアイスの味が広がってくるようです。

そりゃ「美味しそう!」「アイス食べたいよ~!」と言ってしまいます。

地獄でアイス作りをするという一風変わった絵本。

ですが、そんなの関係なく純粋にアイスが食べたくてしょうがなくなるお話です。

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