まほうのえのぐ(3歳~)

絵本

作:林明子 出版:福音館書店

自分だけの絵や色を楽しめる絵の具でのお絵描き。

それはとっても楽しく魅力的。

でも、一人で描くよりもみんなで描いた方が、もっと魅力的かもしれません。

それこそ魔法がかかってしまうくらい。

あらすじ

小さなよしみには、お兄ちゃんがいました。

お兄ちゃんは絵の具箱とスケッチブックを持っています。

絵の具箱の中には、パレットと筆と綺麗な色の絵の具がたくさん。

でも、よしみが「自分も描きたい」と言っても、毎回「ダメだ」と断られていました。

ある日、よしみはまた「自分も描きたい」と言いました。

お兄ちゃんは「大事な魔法の絵の具だからダメだ」と言います。

しかし、よしみはどうしても絵の具箱を放そうとしません。

とうとう、お兄ちゃんはよしみに絵の具を貸してくれました。

よしみはパレットに青、赤、黄色と絵の具を出していき、描き始めました。

描いているうちに色は段々混ざり合い、パレットは茶色のどろんこみたいに。

それを見たお兄ちゃんは呆れています。

よしみはもう一度描き直すため、パレットと水入れを洗いに行きました。

よしみが戻ってくると、ヘビが赤い絵の具を口にくわえて森の中へ入っていきます。

よしみは慌ててヘビを追いかけ森の中へ。

追いかけていくと、赤だけでなく、黄色や緑の絵の具もありました。

なんと、その絵の具を使いヘビと一緒にリスやカラスやネズミが絵を描いているではありませんか。

そこへ、クマとキツネが絵の具箱と水入れを持って出てきました。

よしみはとっさに「それ、お兄ちゃんのだから!」と叫び出ていきました。

すると、動物たちはあっという間に逃げて行ってしまいました。

ですが、尺取虫が一匹だけ小さな枝で葉っぱに赤い絵の具を塗っています。

よしみは尺取虫のために、他の色もパレットに出してあげました。

そうしていると、逃げて行った動物たちも次第に戻ってきて、みんなで絵を描くことに。

よしみもみんなと一緒に絵の続きを描き始めます。

今度はどんな絵が完成するのでしょうか。

『まほうのえのぐ』の素敵なところ

  • 絵の具ののびのびとした自由さが溢れている
  • 動物たちの個性的な描き方と絵
  • 一人で描いても楽しいけれど、みんなで描くともっと楽しい

この絵本を読んでまず思うことは「絵の具を使いたい!」という気持ちではないでしょうか。

それくらい、この絵本には絵の具で絵を描く魅力が詰まっています。

ただ、パレットに絵の具を出し、色を混ぜ合わせるだけでも物凄く楽しそう。

自分だったら何の色を出すか、思わず考えてしまいます。

きっと、写実的な絵で絵の具の質感や、絵の具を出した後のチューブの感じ、パレットでの色の混ざり具合に、よしみの描く姿などが描かれているからこそ、実際に同じように絵の具を使いたくなるのだと思います。

色だけでなく、描き方もとってものびのびとしていて自由です。

それは動物たちの個性的な絵の描き方に現れています。

筆だけでなく、しっぽで描いたり、木の枝を使ったり、足や手で描いたりと色々な描き方があります。

また、絵の内容も写実的なもの、模様を描くもの、色を塗るのを楽しむものなど多種多様。

そこにはのびのびとした多様性が広がっています。

そして、これらはクレヨンや色鉛筆では出来ない、絵の具ならでは素敵な魅力なのだと思います。

それに、イタチやカラスが芸術家ばりの写実的な絵を描いていたりと、意外性があったりするのも面白いところです。

さて、一人で描いていたら、どろんこの絵になってしまったよしみ。

ですが、みんなと一緒に描いた絵には、他のみんなと描いたからこそのインスピレーションが詰まっています。

それはまさにみんなと楽しく描いたから出来た絵です。

一人でじっくり描くことも楽しいですが、みんなと一緒に描くことで描ける絵もあることにも気付かせてくれます。

読んだらきっと絵の具で絵を描きたくなる。

のびのびとした絵の具の自由さや、魅力的な色が詰った絵本です。

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