作:新井洋行 絵:小林ゆき子 出版:くもん出版
世にも恐ろしいおばけたちの村。
もしその中で怖がることなく一緒に暮らしたり、遊んだり出来たら・・・。
そんな願いを叶えてくれる、ちょっと怖く、楽しい絵本です。
あらすじ
あるところに、おばけたちの住むぴーかーぶー村がありました。
おばけたちは人を怖がらせるのが大好きです。
そのため、500年もひとっこひとり訪れませんでした。
そんなある日、一人の男の子がやってきて村はずれの空き家に住み着きました。
久しぶりの人間に、おばけたちは張り切っておどかします。
しかし、男の子は怖がるどころか明るく話しかけて来るではありませんか。
そして、村のパン屋でパンを買い、店から出てくると村中のおばけが一斉に男の子をおどかします。
合言葉は「ぴーかーぶー!」
すると男の子はうずくまってしまいます。
さすがの男の子も怖くなってしまったのでしょうか。
この後一体どうなってしまうのでしょう。
『ぴーかーぶー!』の素敵なところ
- ページのめくりを活かしたおばけの躍動感
- 怖さと不気味さと暖かみのあるおばけたち
- ついつい真似して言いたくなる合言葉「ぴーかーぶー!」
吸血鬼やミイラ男など、色々なおばけが順番に男の子をおどかします。
木の陰に隠れていて、ページをめくると「ばあ!」と出てくる。
こうもりの姿だったのに、ページをめくると大きな吸血鬼になってとびかかってくる。
など、ページめくりの楽しさが溢れています。
読んでいる方もつい熱が入ってしまいます。
そして出てくるおばけもとっても素敵。
この本のおばけたちの魅力は怖いだけでもかわいいだけでもないんです。
見た目はとても不気味で結構怖い。
でも、見ているうちに愛着が湧いたり、かわいく見えてくる不思議な魅力。
きっと、表情が豊かに描かれているからだと思います。
怖い顔、困った顔、笑った顔
それらが生き生きと描かれているから愛着が湧いてくるのだと。
また、村の名前でもあり、おばけたちの合言葉である「ぴーかーぶー!」も大きな魅力です。
一度聞いたら覚えてしまい、その場面ではつい一緒に言ってしまう魔法の言葉。
男の子をおどかすときには子どもたちも「ぴーかーぶー!」と合わせてきます。
絵本の終わりには「ぴーかーぶー!」の大合唱になりました。
そんな子どもの楽しいが詰まった絵本です。
『ぴーかーぶー!』のおすすめの読み方
- ページめくりを大切に
- おばけのおどろおどろしさと男の子のあっけらかんとした言葉の対比
- おばけ談議に花を咲かせる
この絵本の一番大事な部分はページめくりです。
おどかしてくるところなどはしっかり溜めを作り、場面転換にメリハリをつけましょう。
特にみんなでおどかす「ぴーかー」からのページめくりは山場です。
子どもたちも「ぶー!」を言いたい場面なので、「ぴー・・・」「かー・・・」から同じテンポでぶー!」のページめくりへ繋げると子どもも合わせやすく、自然に言葉が出ると思います。
また、おばけがおどろおどろしくおどかしてきたあとの、男の子のあっけらかんとした言葉にしっかりと対比をつけて読むと、より子どもの「怖くないのかな?」という気持ちを盛り上げられます。
そして読み終わった後、子どもたちから「あんなおばけもいた」「どんなおばけなんだろう」などの声がよく聞かれます。
おばけの絵のページを見せつつ、おばけ談議をしてみると面白い発想が出てきたりと、より絵本の世界や子どもたちのイメージが広がりおすすめです。
ぜひ自分の読み方を編み出してみてください。
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