作:サトシン 絵:よしながこうたく 出版:講談社
困ったことがあった時、絶対的な力を持っていたら。
そんな風に空想したことがきっとあると思います。
そんな気持ちを思い出させてくれる勢いのある絵本です。
そして、現実と向き合うかっこよさも教えてくれる絵本です。
あらすじ
昼休みにいきなり殴られたよしお。
相手は親友のてつおだった。
やり返すことも出来ず泣いた。
その後の授業も悔しさで頭に入らない。
学校の掃除もすっぽかして急いで家に帰ったよしお。
家に着くと自分の部屋の押し入れにある秘密のコックピットへ。
操縦桿を握り「ウチロボ発進!」と号令をかけると、家がロボットに変形した。
ウチロボを操縦してつおのもとへ。
てつおを見つけたウチロボとよしおは一体どうするのでしょうか。
『ゆけ!ウチロボ!』の素敵なところ
- 迫力満点の絵
- よく見ると色んな発見のある描きこみ
- 自分自身で解決する大切さとかっこよさ
一度見たら忘れられない絵のタッチ。
そして、生き生きとした表情。
殴られる時の躍動感や、悔し涙を流す表情など迫力と勢いがすごいです。
字がなくても内容がわかるくらいに表現されています。
また、ウチロボから発射されているミサイルがトイレの便器やほうきなど、家にあるものだったり、足についている窓からおばあちゃんが見えたりと、よーく見ると見つかる面白ポイントが盛りだくさん。
ウチロボが戦うだけで、よしお家の生活が垣間見えてきます。
そして、一見勢いや面白さ重視の絵本かと思いきや、他の力を借りて仕返しをすることへのむなしさや、もやもやする感じ。
友だちとけんかをして帰ってきた後の何とも言えない気持ちや、自分の力で解決する大切さやかっこよさも描かれています。
読んだ後に清々しさを感じる絵本です。
『ゆけ!ウチロボ!』のおすすめの読み方
- 前半は勢いよく、後半はかみしめるように
- よしおのセリフは感情をしっかり表現する
- 裏表紙を最後にしっかり見せる
前半はいきなり殴られるシーンから始まり、よしおの感情が高まってウチロボに乗り込み戦うというノンストップな展開です。
勢いよく、悔しさをしっかり表現しながら読んでいきましょう。
一転して後半、悔しさが収まらずすっきりしない複雑な心境は自問自答するように、そこからの決意は自分自身に言い聞かせるように、かみしめるように読んでいきます。
そして最後のシーンではその後の展開が気になる子から色々な反応が出ると思います。
それを受けて裏表紙へ繋げていきましょう。
そこには一つのその後の展開のヒントが描かれています。
でも、本当にどうなったかはわからないので、それを見せた後は子どもたちそれぞれの頭の中の物語でいいのではないかと思います。
笑いあり、シリアスありのこの絵本。
ぜひ自分の読み方を編み出してみてください。
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