作・絵:あさおよう 出版:フレーベル館
もし普段見ている景色が自分にだけ地獄のように見えたらどんな反応をするでしょう。
怖くて逃げだす。どこかに隠れてやり過ごす。戦う。
いえいえ、この絵本の主人公は一味違います。
地獄に見えるいつもの町でどんな風に過ごすのでしょう。
あらすじ
お母さんと一緒に三輪車の専門店「さんりんどう」へ三輪車を買いに来た。
そこには色々な三輪車が置いてあった。
お店の奥には閻魔大王の顔が付いた一際怪しい三輪車が。
その三輪車は地獄から取り寄せた「じごくのさんりんしゃ」だと店主は言う。
一目で気に入った僕はその三輪車を買うことにした。
次の日、じごくのさんりんしゃに乗って公園へ。
ところが公園まで行く途中三輪車の目が光ると、いつもの街並みが地獄に見えるようになってしまった。
すると、三輪車がしゃべりだし、「こわいだろう?おそろしいだろう?」と大笑い。
しかし、僕も負けじと大笑い。
僕が大笑いした理由とは。
そして、地獄を見ても驚かない僕が一番恐ろしいものとは・・・。
『じごくのさんりんしゃ』の素敵なところ
- 迫力のある絵
- 普段の町が○○に見えたらというイメージ遊びに繋がる
- しっかりオチがある
絵のタッチや構図に迫力があり、見ていて飽きません。
地獄に見える前の町の人の特徴が上手く鬼たちに落とし込まれていて、見比べてみても楽しいです。
また、町の描き込みも丁寧で、公園以外の所にもたくさん発見があります。
この絵本を読んでいると「もし○○に見えたら」という遊びにも繋がります。
地獄だけでなく、色々なテーマに発展したり、散歩がより楽しくなるでしょう。
一緒に歩きながら、「あの犬は地獄の番犬かも」と言ってみたりすると広がるかもしれません。
そして、しっかりオチがあることでしっかり終わるのも素敵なところ。
すっきり大笑いで終わることでしょう。
そんな細かいことを抜きにして楽しめる絵本です。
『じごくのさんりんしゃ』のおすすめの読み方
- ゆっくりと絵を見せながら
- ページを戻しつつ読んだり、繰り返し読むとさらなる発見が
- オチは思い切り落とす
町並みや公園での人々の様子が細かく描かれているので、子どもたちと一緒に発見を楽しみつつじっくり見せるように読み進めていきましょう。
また、地獄の鬼たちの秘密がわかると、それ以前のページがより楽しく見えるところもたくさんあるので、少しページを戻してみたり、何度も読んでいくと新しい発見がある仕組みになっています。
何度も読んで発見をし尽してみましょう。
そして、最後のオチは楽しい気持ちが恐怖のどん底に落とされる落差を、ページめくりとともに表現し落とし切りましょう。
発見が散りばめられたこの絵本。
ぜひ自分の読み方を編み出してみてください。
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