作:谷川俊太郎 絵:元永定正 出版:文研出版
ナンセンス絵本の代表格でとても有名なこの絵本。
ですが、ナンセンス絵本って読み方が意外と難しい。なにしろ意味がありませんから・・・。
でも子どもと呼吸を合わせて読むとこんなにおもしろいジャンルはありません。
意味がなくても大笑いに大盛り上がりナンセンス絵本特有の一体感を味わえます。
そして小さい子向けだと思われていますが、実は年長さんでも楽しめます。
そんなこの絵本の魅力と年齢別の読み方をお伝えします。
この絵本のすごいところ
- 全然意味がない
- でも、びっくりするぐらい子どもの反応がいい
- 0~6歳まで全対応。多分小学生にもいける
読み方を工夫していけば0歳児~年長組まで楽しめる懐の深さは圧巻です。
さて、どんな絵本なのかというと、単純な絵と擬音だけで構成された絵本です。
なんにもない「しーん」とした地面に「もこ」っと小さな山のようなものが出てきます。
「もこもこ」っと大きくなるととなりに「にょき」っと木のようなものが生えてきます。
「もこもこもこ」っとさらに山が大きくなると「にょきにょき」っと木も伸びます。
大きくなった山が木を「ぱく」っと口に入れ、「もぐもぐ」と食べてしまいます。
すると山から「つん」っと小さな丸が飛び出します。
それが「ぽろり」と地面に落ちると、「ぷう」っと膨らみさらに大きくなって「ぎらぎら」と太陽のようになります。
そして「ぱちん」と割れると音もなく破片が飛んで行ってしまいます。
飛んで行った破片がパラシュートのように「ふんわふんわふんわ」と降ってくると、
また地面には「しーん」と何もなくなってしまいます。
最後のページにも何もないのですが、カバーの折り返しを開くと「もこ」っと出てきて終わります。
ただそれだけの話になんの意味もない絵本なのですが、子どもたちの食いつきがすごいのです。
何歳児でも絵本に釘付けにしてしまうパワーが秘められています。
ここからは子どもの反応を交えつつ、おすすめの読み方のバリエーションを紹介していきますね。
年齢別おすすめの読み方
- 絶対に表紙カバーは捨てないで!
- 年齢に合わせた読み方が大事
- 意味がないからこそいろんな遊び方が詰まってる
☆0~1歳児
音に合わせた絵の変化を楽しむ子が多いです。
そのため場面ごとのメリハリをつけて読んでいきます。
例えば「もこ」は小さめ、「もこもこ」は中くらい、「もこもこもこ」は大きい声で読んだり、
「ぎらぎら」は膨らみすぎて爆発寸前のような声色を意識する感じです。
そしてこの年齢の子には動作や表情もつけていくとより絵本の世界に引き込めます。
「ぱく」「もぐもぐ」のところでは読み手も口に入れ噛む真似をしたり、「ぱちん」のところでは手をたたいて音を出したりすると、子どももそれを真似しだします。
そして繰り返し読むうちに自分の好きな場面を待ってまねっこしたり、読み手と一緒に口に出して言うようになっていきます。
指差しや発語にもとても刺激を与えてくれる一冊です。
なによりその反応や動きがかわい過ぎるのでぜひ読んでみてください。
☆2~5歳児
読み方は同じなのですが、この年齢には知っていることを前提とした言葉遊びがおもしろいです。
最初の「しーん」の場面で「あれ?今日はいないみたい。おしまーい」と絵本を閉じようとします。
すると子どもたちから「だめー!」「いるからページめくって!」などなど抗議の声。
「多分いないと思うけど一応めくるね」と渋々めくってみると「あ、いた」。
子どもたちは「ほらいたじゃん!」と絵本が始められた安心感で釘付けになります。
そして最後にも仕掛けます。
「しーん」から最後のページをめくって「いなくなっちゃったね」と絵本を閉じようとすると、「いるいる!」とまた抗議の声。
「えー、どこにもいないよ」ととぼけると、「そこめくって!」「カバーの後ろにいるよ!」と必死の子どもたち。
「ここ~?」と言いながら「もこ」っとめくると「ほらー!先生ったら!」と笑顔になります。
そんな遊びも出来る、単純な内容の中に子どもの「おもしろい」と思う要素が詰まった一冊です。
長い本を読む前の導入としてもおススメです。
ぜひ自分の読み方を編み出してみてください。
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