作:高畠那生 出版:くもん出版
空から大きな大好物が降ってきたらな~
誰しもそんなことを思ったことがあるのではないでしょうか。
しかし、実際に降って来てみると、「食べても大丈夫かな?」と現実的な疑問が。
絵本の中では珍しい、そんな疑問を考えているうち色んな発見をしていく絵本です。
あらすじ
ある日ものすごい音がして、そこへ行ってみると大きなホットケーキのようなものが。
するとさらにもう一枚降って来て、その上にバターまで。
これは確実にホットケーキだと確信・・・。
しかし、「落ちたものは食べちゃダメ」と言われているし、食べるかどうか悩みます。
そうこうしていると、はちみつが降って来て、あたり一面はちみつだらけに。
体中ベトベトになって困っていると、一緒にいた犬のジョンがホットケーキの間に入ってしまいます。
慌てて追いかけると、そこにはバターやはちみつもないのでベタベタしない。
しかも。柔らかくてあったかくていい気持ち。
いつの間にか寝てしまいました。
はっと気づくともう夜です。
結局このホットケーキを食べるのでしょうか。
『そらからぼふ~ん』の素敵なところ
- 主人公の動きがおもしろい
- 発想が斜め上
- つい言いたくなる擬音
表紙からも伝わるように、顔芸のように表情豊かだったり、両手を上げて全力でびっくりしたりと躍動感と表情で思わず笑ってしまいます。
また、メリハリがすごく、手についたバターをホットケーキにこすりつける時の得意げな表情→はちみつで全身ベトベトになり諦めたような表情などコントのように展開します。
そしてそもそも始まりからわかることですが、全編通して発想が斜め上を行くので予測できません。
美味しそうなホットケーキを見て、飛びつくのではなく「これは落ちていると言えるのか」と真剣に考える。
ホットケーキの中はバターもはちみつもないと発見して入っていく。
気持ちいいから中で寝てしまう。
などなど、普通の絵本では予測できない展開です。
それをとてもまじめにやっていくのがおもしろいのです。
最後は擬音とその雰囲気を表現した文字です。
ホットケーキが落ちてきたときには力強い字で「ぼふ~ん」。
二枚目は「ぼぼーん!」。
バターは小さめの文字で「とぅん」。
など、ついつい言いたくなる擬音も特徴的です。
真剣なのかふざけているのか紙一重のこの絵本をぜひ読んでみてください。
『そらからぼふ~ん』のおすすめの読み方
- 擬音は文字に忠実に
- 間の取り方でよりおもしろく
- 子どもと自分だったらと考えながら読むのも楽しい
「ぼふ~ん」は大きく、「とぅん」は跳ねるようになど、文字の大きさや雰囲気に合わせて読んでいきましょう。
勢いの大事な絵本なので全力でやった方が面白いです。
同時に間もとても大事です。
考察している冷静なセリフから二枚目の「ぼぼーん!」へ一気にページをめくる。
バターの落ちてくる「とぅん」や、はちみつの降ってくる「どっぷ~ん!」の後に擬音の余韻を残すように間を入れていくと、一難去ってまた一難という雰囲気を作れ展開にメリハリがつきます。
そして、「これは落ちてるのかな?」や終わった後に「みんなは食べる?」などと聞いてみるのも面白いです。
食べる子、食べない子、上の一枚だけ食べる子など様々な答えや理由が出てきます。
そんな意外と科学的な視点でホットケーキを見る絵本。
ぜひ自分の読み方を編み出してみてください。
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