作:テイべ・フェルトカンプ 絵:アリス・ホッホスタット 訳:のざかえつこ 出版:フレーベル館
工事現場にある重機たち。
その力強い姿に憧れを持っていた人も多いのではないでしょうか。
そんな重機を子どもが勝手に運転してしまう、羨ましくも心配なお話です。
あらすじ
毎日、柵の外から工事現場を眺めている男の子バート。
工事現場のおじさんから「勝手に入ったらダメ。おまわりさんが来るぞ」と言われていました。
ある日、バートよりも大きいハンスとケースが来て言いました。
「俺達は柵の中に入れるけど、お前には小さくて無理だろ」
すると、遠くにあるなにかを見た後、「じゃあ、僕、中に入る。でも、ちゃんとおまわりさんを呼んでね」と言い、柵の中に入っていきました。
そして、ロードローラーに乗り工事現場を出ると車を踏みつぶしてしまったのです。
次にコンクリートミキサー車に乗り、道にコンクリートを流しました。
さらに、クレーン車を使いパトカーを吊り上げてしまったのです。
バートは逮捕されてしまうのでしょうか。一体なぜこんなことをしたのでしょう。
『クレーンからおりなさい!!』の素敵なところ
- バートが運転するかっこいい重機
- 擬音での文章表現が小さな子にもわかりやすい
- 驚きの結末と絵に隠された伏線
この絵本の主役の重機たちがバートの小ささと相まって、大きくパワフルに描かれています。
バートが重機を選ぶたび、「コンクリートミキサー車だ!」という嬉しそうな声とともに「今度はなにをしちゃうんだろう・・・」という不安の声も出てくるのが面白いところです。
そして、文章の一部に擬音が使われているのも素敵でわかりやすいところ。
ロードローラーで車をつぶす→ごろごろぐしゃん
ミキサー車でコンクリートを出す→ぐるぐるどろろーん
クレーンで吊り上げる→がっちゃんぐいーん
これがのちに事情を警察に説明するとき、「○○だからごろごろぐしゃんしたの」と話します。
これにより、直感的に思い出しやすく、バートの小さい男の子感を出しつつ、説明が長くなりすぎないというわかりやすさ、読みやすさに繋がっています。
最後にこの絵本の一番面白いところは、驚きの結末です。
「なるほど!」となると同時に、バートの方に注目を集めつつ、絵の隅の方で伏線がこっそり描かれているのです。
二回目に読むと、「あ!○○してる!」と気付き、もう一つの視点で絵本を見られるのも面白いところです。
ミステリーを読んでいる雰囲気な絵本です。
『クレーンからおりなさい!!』のおすすめの読み方
- バートは無邪気で楽しそうに
- 他の人は大慌てで
- 伏線の絵に気付いた子へは適度に反応
バートは子どもが好奇心からいたずらをしていくように読んでいきます。
これにより、最後の結末の予想外感が大きくなります。
反対に他の人たちは「なんてことをするんだ!」という大慌てな様子で読んでいきます。
バートの様子とも格差がこの絵本の面白い所なので、十分表現していきましょう。
そして、何人かは伏線の絵に気付く子がいます。
「あっちに誰かいるよ」などと言われたら、「ほんとだね」など軽く反応して注目を集めつつも流して次の場面へ進んでいきましょう。
どれだけハラハラドキドキ感を持たせつつ、最後に繋げられるかが大切です。
ぜひ自分の読み方を編み出してみてください。
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