作:秋葉舞子 出版:リトルモア
大きくて、きらびやかで、素敵な髪飾り。
でも、時にはそれが重くなりすぎる。
重たい飾りを取った時、きっと違う景色が見えてくる。
あらすじ
山の向こうのもっと奥。
一軒の家があり、そこには一人の少女が住んでいました。
頭には大きな髪飾りをつけています。
いつお客さんが来てもいいように、一日中髪飾りはつけたまま。
雨の日も、風の日も髪飾りのため外には出ません。
晴れの日は、友だちが来るかもしれないから外に出ません。
少女の家にはドアノブがないので、扉は開かないのですが・・・。
ある日、いつも通りの朝ごはんの時間。
少女は思い切って、街に出かけてみることにしました。
「こんなに綺麗な髪飾りをつけているんだから、みんな私と友だちになりたがる」
という自信を持って。
街に着くと、まずは公園でブランコの列に並んでみました。
しかし、頭が重すぎてブランコから落ちてしまいます。
レストランに入ってみたけれど、スープの中に飾りが落ちて、スープをこぼしてしまいました。
頭が重くて何もうまくいかない少女。
街の終わりで、小さな花を見つけます。
香りをかごうとかがんだら、髪飾りが落ちて小さな花は折れてしまいました。
自分の髪飾りのせいで、花を傷つけてしまったことに落ち込みつつ、少女は家へと帰ります。
もう髪飾りはありません。
少女はまた家に閉じこもり、友だちが訪ねてくるのを待とうと帰ります。
でも、とっくに気付いていました。
私には友だちなんていないし、一人ぼっちだということに・・・。
家に帰り泣く少女。
ずっとずっと一人ぼっちなのでしょうか。
『髪飾りの少女』の素敵なところ
- 重たくなりすぎた髪飾り
- 勇気を出した行動が繋がりを生んでいく
- なにが大切なのかを少女を通して見つめ直させてくれる
少女の頭に飾られた、自分の頭ほどもあるような大きすぎる髪飾り。
それは少女の自信の中核。
「こんなに綺麗な髪飾りをしている私はとっても素敵」
でも、色々なものをつけ過ぎた髪飾りはとっても重く、とっても壊れやすく、なにをするにも不自由そう。
自信だけが大きくなるけど、髪飾りのせいで何もできません。
しかし、ある日。
少女は外へ飛び出してみます。
街で人と関わってみます。
もちろんうまくいきません。
現実を突きつけられるたび、ガシャンガシャンと髪飾りが音を立てて剥がれ落ちていきます。
もちろん、少女の自信も・・・。
でも、それは無意味なことではありません。
苦しくて、泣きたくて、傷つけてしまうものもあるけれど、その勇気は少女の心と未来を確実に変えていくのです。
それはこの物語の結末で描かれます。
少女の勇気の結果と、なくしていたものの在処が。
きっと、人それぞれに「髪飾り」があると思います。
それはほどほどであれば、自信になったり、人生に彩りを加えてくれると思います。
でも、重くなりすぎると「髪飾り」のために生きることになるかもしれません。
そんなことを少女の勇気ある行動と傷つく姿を通して見つめ直させてくれます。
読んだら髪飾りの少女が大好きになる。
かわいく、切なく、温かい、勇気をくれる絵本です。
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