まよなかのトイレ(4歳~)

絵本

作:まるやまあやこ 出版:福音館書店

いつもは一人でいけるトイレ。

でも、夜になると話は変わってきます。

しんとした家の中、暗い廊下・・・。

いつもと違う雰囲気の中、勇気を出してトイレに挑戦するお話です。

あらすじ

真夜中。

ひろこはトイレに行きたくなって目を覚ましました。

しかし、お母さんは赤ちゃんのオムツを変えていて手が離せません。

ひろこは少し考えて、一人でトイレに行ってみることにしました。

ぬいぐるみのみいこを連れて、一人でトイレに向かいます。

薄暗くてしんとした廊下に、ひろこの足が止まります。

するとみいこがひろこの腕から降り、尻尾を握ってついてくるよう言いました。

途中、ドアの模様が顔のように見えたりもしましたが、みいこのおかげでトイレまで来ることが出来ました。

トイレに着くと、なにやら中から音がします。

なんと、トイレの中にヤギがいて、トイレットペーパーを食べていたのです。

ヤギはひと鳴きすると、廊下の暗闇に消えていきました。

ひろこはなんとか用を足すことが出来ました。

しかし、トイレットペーパーがないことに気付きます。

ヤギが食べてしまったからです。

新しい紙は高い棚の上。

背伸びしても届きません。

すると「私が取ってあげる」と声がしました。

その声はウサギでした。

ウサギは高くジャンプすると、紙を取ってくれたのでした。

ひろこがトイレから出ようとするとまた声が。

その声は「ちょっとちょっと忘れているよ」と言ってきます。

一体誰の声でしょう?

ひろこの忘れているものとは一体?

『まよなかのトイレ』の素敵なところ

  • 夜のトイレあるあると不安な気持ちが詰まっている
  • 楽しいエピソードでトイレに行ってみようという勇気をくれる
  • よく見るとトイレの中にいる動物たち

この絵本にはいつもと違う夜のトイレにつきもののあるあるや、その時の心情が見事なまでに描かれています。

しんと静まり返った薄暗い廊下、顔のように見えるドアの模様、ヒンヤリした床など。

いつもなら短い廊下も、なんだか物凄く長く感じたり、なにかがいる気がしてしまう心情を細かく描きだしているのです。

だからこそ「あー、あるある」「昼間は怖くないのにねー・・・」と共感を得られているのだと思います。

でも、不安な気持ちを描き出すだけでなく、トイレでの不思議で楽しいエピソードがたくさんあるのもこの絵本の魅力です。

ぬいぐるみのみいこが先導してくれたり、ヤギがいたり、ウサギが助けてくれたりと、ファンタジーで楽しいエピソードが盛り沢山。

なんだか、トイレに行ってみたくなるような、ワクワクするものばかりです。

これらはきっと「一人で行ってみようかな?」という勇気を後押ししてくれるに違いありません。

さて、そんな楽しいエピソードに出てくる動物たち。

最初は「なんでウサギがいるの!?」といったように、突拍子もないように思えます。

ですが、トイレの中をよく見ると、実はウサギや他の動物も隠れているのです。

それを見つけると「あ、この子が出てきて助けてくれたんじゃない?」と物語への納得感が一気に増します。

そんな仕掛けもこの絵本の素敵なところ。

自分の家のトイレにいる動物たちも「出て来てくれるかな」と、なんだか愛着が湧いてくるかもしれません。

昼間とは全然違う真夜中のトイレ。

不安でいっぱいの真夜中のトイレを楽しいエピソードで描き出す。

なんだか勇気の出てくる絵本です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました