作:斉藤洋 絵:高畠那生 出版:フレーベル館
生き物の赤ちゃんが生まれてくる卵。
でも、生まれてくるのは赤ちゃんだけはないかもしれない。
あんなことも、こんなこともあるかもしれない。
そんな不思議な卵のお話です。
あらすじ
白くて丸い卵はカメの卵。
つぶつぶがたくさんの卵はオタマジャクシの卵。
でも、壺からカメが生まれることもあるし、オタマジャクシの卵から風船が生まれることもある。
層物の柄の色々な形の卵からは、ゾウやキリンなどの動物が生まれた。
ソフトクリームや、お城のような形の卵からは、ソフトクリームやお城と一緒に、頭にヘビが乗ったおじさんや、千切りキャベツを作る人たちが生まれた。
動物たちと合わさって、動物園が出来ました。
次の卵は埴輪みたいな卵たち。
そこからは変な格好の人たちが生まれた。
次の卵は楽器の卵。
そして、また出てきたのはつぶつぶの卵。
つぶつぶの卵からは何が生まれるんだっけ?
『だれのたまご』の素敵なところ
- ほぼ当てるのが不可能な卵クイズ
- じっくり読むほど味が出るスルメのような中毒性
- 一見ナンセンスだけど実は全部繋がっている
「誰の卵?」というクイズ絵本は数ありますが、ここまで難易度の高いものは中々ないかもしれません。
なぜならなんでもありだから!
トラックのシルエットの卵から、デスクで3人の男が山積みの書類をしている所が生まれたり、テーブルと椅子のシルエットの卵から、テーブルみたいな男の人と椅子みたいな犬が生まれる。
そんなもうシルエットクイズのようなノリで卵が出てくるのです。
まるで、小学生が考えた引っかけ問題。
「そんなのわかるわけないじゃん!」と思ってしまいます。
子どもは思うだけでなく口に出てしまいます。
でも、その絵の魅力や面白さからじっくり読んでしまうのもこの絵本の魅力の一つ。
そして、見ているうちに「あ、さっきの人ここにいる!」と気付いたり、卵のシルエットと生まれた後のシルエットを見比べ「ここがこうなってるのか~」と納得したりします。
そうこうしているうちに、気付けばこの絵本の世界にどっぷりつかってしまうのです。
さらに、生まれてきた卵同士の繋がりに気付いてくると、さらに新しい扉が開かれます。
実はこの絵本は最初から最後まで、一貫した流れがあることに気が付くのです。
その気付きへの知的満足感は相当なものでしょう。
一見ナンセンスで、なんでもありの卵クイズに見えるのですが、動物と変な人たちが組み合わさり動物園が出来る、さらにそこから・・・。
と言ったように、実はふんわりとしつつもしっかりと繋がりと流れのある物語なのです。
独特過ぎる絵と世界観、わかりにくくも面白い物語。
それらが合わさり、スルメのような中毒性を持った不思議な絵本です。
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