文:ジーン・リーディ 絵:ジョーイ・チョウ 訳:木坂涼 出版:岩崎書店
ぎゅ~っと抱きしめる時の温かさ。
それに、優しさや幸せ。
そんな気持ちが目一杯、ぎゅ~っと詰まったかわいく柔らかな絵本です。
あらすじ
あるところになめくじがいました。
「誰かをぎゅーってしたいなぁ」って、思っていました。
そこへ寂しそうにクワガタが歩いてきました。
なめくじはクワガタに言いました。
「ぎゅーってすると、寂しい気持ちが飛んで行っちゃうかもよ。」
そこで、二人はぎゅ~っ!
クワガタはにっこり。
すると、近くでネズミがグルグルと動き回っていました。
なんだか、イライラしているみたいです。
クワガタがネズミに言いました。
「ぎゅーってすると、落ち着くかもしれないよ。」
そこで、三人はぎゅ~っ!
ネズミは落ち着いたみたいです。
と、その時、スカンクがみんなの前でおならをしました。
おならをしたスカンクも、その臭いを全部嗅いでしまったリスも二人で泣き出してしまいます。
そこで五人でぎゅ~っ!
リスもスカンクも泣き止みました。
その後も、それぞれ事情のある動物たちと出会うたび、ぎゅ~っ!としていきました。
そこへクマが近づいてきました。
すると、動物たちはぎゅ~っ!としないで、みんな逃げてしまったのです。
残ったのはクマとなめくじだけ。
一体どうなるのでしょう。
『しあわせぎゅ~っ!』の素敵なところ
- かわいくて素敵すぎるなめくじ
- 読むと「ぎゅ~っ!」ってしたくなる
- 「ぎゅ~っ!」ってすることの内緒の秘密
日頃、「気持ち悪い」と言われてしまうことが多いなめくじ。
ですが、この絵本のなめくじは優しくてかわいくて思わず抱きしめたくなってしまいます。
特にその仕草としゃべり方が反則過ぎて、短い手をフリフリしながら「だれかいないかな~」とぎゅーする相手を探すところなどは、可愛すぎるのです。
子どもからも「このなめくじさんは、かわいい~」「可愛すぎる・・・」と大人気。
でも、素敵なのは見た目だけではありません。
どんな相手でも、どんな状況でも差別せず、「ぎゅ~っ!」っとしてくれる優しさや懐の深さが、一番素敵なところなのです。
そんななめくじとみんなの「ぎゅ~っ!」とする姿はまさに幸せそのもの。
寂しそうにうつむいていた顔も、疲れた顔も、イライラした顔も・・・。
全部、安らいだ顔に変わってしまうのですから。
表情だけでなく、ページの背景からも爽やかさだったり温かさだったりと、その時の動物たちの気持ちが伝わってきて、とても優しい気持ちにしてくれます。
「ぎゅ~っ!」っとする姿を見ていると、こちらまで「ぎゅ~っ!」としたくなってきます。
読んでいる間にも、隣同士の子や、近くにいる先生と「ぎゅ~っ!」っとする子もちらほら。
やっぱりみんな「ぎゅ~っ!」ってしたくなるみたいです。
さて、この絵本の「ぎゅ~っ!」には内緒の秘密がありました。
それはなめくじがなんで誰かを「ぎゅ~っ!」したかったのかという秘密。
そこにはとても温かい、「ぎゅ~っ!」する方も、される方も嬉しい秘密があったのです。
かわいいなめくじや動物たちに癒されて、自分も「ぎゅ~っ!」ってしたくなる。
「ぎゅ~っ!」の力や温かさ、秘密が詰った絵本です。
コメント