作・絵:さとうわきこ 出版:福音館書店
星が綺麗に見える夜。
そんな日は外で寝るのもいいかもしれない。
でも、そうなるとお茶も欲しくなる。
するとテーブルも・・・。
お菓子も・・・。
本も・・・。
あらすじ
ばばばあちゃんは家の窓から空を見上げていました。
あんまり星が綺麗なので、家にいるのはもったいないと思ったばばばあちゃん。
ゆり椅子を外に持ち出し腰掛けるといい気分。
すると、月も顔を出しました。
家に戻るのはもったいないと思ったばばばあちゃんは今日は外で寝ることにしました。
そこで家からベッドを持ってきます。
横になると、まるで星空の中に浮かんでいるよう。
しかし、ばばばあちゃんは寝る前に熱いお茶が欲しくなりました。
そこでまた家からお茶の道具を持ってくることにしました。
そうなるとテーブルも必要になってきます。
準備が整い早速お茶を飲み始めると、夜中にお腹が空いた時のことも心配になってきました。
そこでさらに、レンジに冷蔵庫、他にも家中の物を外に運び出してきたのです。
一通り運び終えたばばばあちゃん。
あることに気が付きます。
「雨が降ってきたら大変じゃないか」
ばばばあちゃんは一体どうするのでしょう。
いつになったら寝るのでしょうか。
『いそがしいよる』の素敵なところ
- 最初はゆったりロマンチックなお話だと思っていたら・・・
- 魅力的過ぎる家具や小物たち
- まさに本末転倒。ばばばあちゃんらしい結末
最初はゆったりと、優雅に始まるこの絵本。
綺麗な星空を見ながら、ゆり椅子に揺られたり、ベッドに横になるなんて素敵です。
ゆり椅子で揺られると「まるで、私が空を動かしているみたいだね」
ベッドに横になると「星空の中に浮かんでいる気分」
と、ロマンチックな感想も出てきます。
しかし、お茶を持って来た辺りから、なんだか様子が変わってきます。
次々に増えていく物たち。
ついにレンジや冷蔵庫など、家電にまで手を出し始めた時、みんな察します。
「そうだ、ばばばあちゃんだった」と。
ばばばあちゃんはもう止まりません。
ゆったり感はどこへやら、ドタバタ劇へと変わっているのでした。
そんなばばばあちゃんの家にあるものは、どれも細かく描き込まれ、魅力的なものばかり。
運び出されてくるものを見ているだけでも、色々な発見があって面白い。
食器や人形、小瓶にブタの貯金箱・・・。
本当に色々なものが描き込まれています。
中には『せんたくかあちゃん』で見た洗濯板など、他の作品を連想させるものもあったりします。
さて、家中の物を運び出したばばばあちゃんに最後の心配が。
「雨が降ってきたら大変じゃないか」
その解決策はとっても豪快なものでした。
・・・が、同時に当初の目的を完全に忘れたものでもありました。
ばばばあちゃんはとっても満足げですが、まさに本末転倒。
気付いた子どもはあきれ顔。
でも、そんなおっちょこちょいなところもばばばあちゃんの大きな魅力。
「しょうがないな~」という雰囲気で終わるのでした。
ばばばあちゃんらしからぬゆったりと落ち着いた絵本。
・・・と思いきや、いつも通り豪快でおっちょこちょいなばばばあちゃんの絵本です。
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