ほしをつかまえたおうじ(4歳~)

絵本

作・絵:そら 出版:エムジー・コーポレーション

流れ星に、どうしても叶えて欲しい願いがある王子。

でも、流れ星をすぐに消えてしまいます。

そこで、流れ星を捕まえることにしたけれど・・・。

あらすじ

昔あるところに、不思議な城があった。

その城からは大きな望遠鏡が突き出していた。

このお城には一人の王子が住んでいる。

王子は流れ星に叶えて欲しい願いがあった。

でも、流れ星はすぐに消えてしまう。

だから、流れ星を捕まえることにした。

王子は色々な仕掛けを作っていった。

ある夜、たくさんの流れ星が落ちてきた。

そこで、仕掛けを動かして捕まえようとしたが、仕掛けは壊れてしまった。

しかし、王子は諦めなかった。

残りの仕掛けを持って、流れ星を捕まえに行った。

何度も失敗した。

そして、ついに王子の振った網に流れ星が入ったのだ。

だけど、捕まえた流れ星はどんどんしぼんでいき、光が弱くなっていく。

王子は流れ星に息を吹き込んでみた。

すると、少し膨らんだ。

王子は諦めず、何度も何度も吹き込んだ。

ついに流れ星は光を取り戻し元気になった。

王子がさっそく流れ星に願いを伝えようとすると、流れ星は突然夜空に向かって飛び出した。

飛んでいく流れ星に王子は必死に願いを伝えた。

「ぼくに、友だちをください!」と。

だが、願いを言い終わるころには、声も届かないほど遠くへ行ってしまっていた。

がっかりする王子。

流れ星に願いを叶えてもらうなんて、無理だったのでしょうか。

『ほしをつかまえたおうじ』の素敵なところ

  • 最後の最後まで諦めない王子の姿
  • 暗い気持ちの影から、煌めく星空まで、美しい光と影の表現
  • 自分の行動が願いへの道を切り開く

この絵本のとても素敵なところは、王子の姿を通して伝えられる諦めない心だと思います。

仕掛けで捕まえられなくても諦めません。

残りの仕掛けを持って、自分の足で捕まえに行きます。

捕まえて、星がしぼんでいっても諦めません。

息を吹き込み、なんとか光を取り戻そうとします。

こんな風に、一つ失敗しても、予想と違っても決して諦めず考えるのです。

失敗しても、諦めず進んでいくことの大切さを、王子の姿を通して伝わってくるのです。

子どもたちも最初は「あ~あ、ダメだったね」と諦めていましたが、諦めない王子の姿に「がんばれー!」「あとちょっと」と応援し、ついに捕まえると「やったー!」「本当に捕まえられたよ!」と王子と一緒に大喜びでした。

また、夜空や流れ星を扱うこの絵本において、細やかな光や影の表現も素敵なところでしょう。

城の中のろうそくの灯り、流れ星の明るい光、しぼみゆく弱々しい光、眩いほどの星空の煌めく光。

それと対照的な夜の影、流れ星が飛んで行ってしまった後の暗い気持ちを表したような影。

この光と影の対比がとても美しいのです。

本当に夜空の中で星の光を見ているような、光が失われて暗くなったような。

そんな感覚にさせてくれます。

そして、煌めく星空では息を呑むような美しさに思わず「わ~・・・」と感嘆の声が漏れ聞こえるほど。

綺麗なだけでなく、この光と影の表現が王子の気持ちの変化ともリンクしているのも、お話を分かりやすくしてくれる素敵なポイントです。

さて、肝心の王子の願い。

この願いへと通じる道が、王子の行動によって開けていくのも素敵なところだと思います。

願いを叶えてもらったのではなく、願いを叶えてもらうために諦めずにした行動が願いへと通じていく。

この王子の努力を知っているからこそ、心から「よかったね」と祝福できるのです。

さらに、願いが叶うのではなく、その入り口で物語が終わるのも素敵なところ。

願いが叶うかも、これからの王子の行動次第なのです。

美しい光と影の表現で夜空を見るように魅入ってしまう。

諦めないことの大切さを、王子を通して伝えてくれる絵本です。

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