文:中川ひろたか 原案:鈴木翼・熊木たかひと 絵:あおきひろえ 出版:世界文化社
おへそを取っていくかみなり一家。
その仕事を紹介します。
みんなのおへそはこんな風に取られて、こんな風に使われているのです。
あらすじ
子どものかみなりくんは、雲の上に家族と住んでいます。
おとうさんはかみなりどん。
おへそを取るのが仕事です。
かみなりを鳴らしながら地上へ降りていきます。
そして、お腹を出して寝ている子にそっと近づき、おへそを取ります。
家に帰ると、おへそを奥さんに渡しました。
奥さんはおへそをバターで炒めて、かみなりくんに食べさせます。
ある日のこと、かみなりくんも大きくなったので、おへそを取りに行くことになりました。
かみなりくんが地上に降りていくと、部屋に赤ちゃんが寝ています。
赤ちゃんのおへそを取って、家に帰ると早速お母さんに見せました。
しかし、かみなりくんが取ってきたのは・・・。
『かみなりどんがやってきた』の素敵なところ
- かなりしっかりおへそが取られる
- 耳に残る太鼓のリズムと決めセリフ
- おへそは取るけど優しいかみなり一家
この絵本の素敵なところは、おへそをしっかり取られて、バターで炒められて食べられてしまうところ。
そこに救いはありません。
お腹を出して寝ていたら、問答無用で気づかないうちに取られ食べられてしまうのです。
これには子どもたちも危機感を覚えずにはいられません。
「ほんとに取られた!?」「食べられちゃったよ!?」と困惑。
シャツを入れ始める子も出てきます。
こんなかわいい絵で、本当に取られ食べられるとは思っていなかったみたいです。
取られたおへそが返ってこなかったり、食べられる絵本はかなり少ないと思います。
でも、この絵本の魅力はその恐ろしさだけではありません。
所々出てくる、太鼓のリズムと決め台詞も魅力的。
心地よく耳に残ります。
かみなりどんは地上に降りてくる時、
「どんどこどん どんどこどん」とリズムを刻みながら降りてきます。
そして、静かにおへそを取り、気付かれていなかったら大成功。
「セーフ!イエス!」と決めポーズ!
この流れがとっても楽しく、読み終わった後も「どんどこどん♪」と口ずさんでいたり、「セーフ!イエス!」を使ってみたり。
しっかり耳に残っているのでした。
また、無慈悲と思われたかみなり一家ですが、おへそを取る以外は優しいのもおもしろいところ。
かみなりくんが、赤ちゃんのおへそだと思って取ってきたものについては、赤ちゃんが泣いてしまうのを心配したりと、とっても優しいのです。
おへそとそれ以外は別の問題なのでしょう。
そこがかみなり一家が愛されるところなのかもしれません。
おへそに関しては無慈悲なかみなり一家。
おへそを取られるのは嫌だけど、その楽しいリズムに誘われずにはいられない。
なんだか癖になる絵本です。
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