子どもの行動を変えるには?―スライド方式のすすめ

雑記

お元気様です!

登る保育士ホイクライマーです。

保育や子育てを楽しんでいますでしょうか?

ぼくは顔を合わせるたび泣かれていた0歳児クラスの子が、顔を合わせて0秒で、泣かずに「さよなら」のバイバイをしてくれるようになりました!

これまで足しげく0歳児クラスに通ってきたのが実を結んだようです。(ぼくは4歳児担任です)

さて、みなさんは子どもがして欲しくないことをした時や、イヤイヤモードに入ってしまい困ったことはないでしょうか?

  • ・ティッシュを全部出してしまう
  • ・なにかをバンバン叩く
  • ・お菓子を買ってほしくて、その場で座り込む

などなど、日常茶飯事ではないかと思います。

そして、それを必死に止めたり、苦労して引っ張っていく姿もよく見かけます。

そんな時、子どもの行動を変えるのにとっても使えるのがスライド方式なのです。

今回は、ぼくも保育の中でよく使う、スライド方式の使い方と注意点をお伝えしていきたいと思います。

きっと、大人も子どもも納得して行動出来るので、気持ちも楽に楽しくなるはずです!

スライド方式とはなんぞや

さて、まずはスライド方式について説明していきましょう。

まずはこの名前を聞いたことのない方も多いと思います。

それもそのはず、これはぼくが勝手に名付けて使っているものだからです。

使い方は単純です。

して欲しくない行動を、これならやってもいい行動へスライドする

これだけですが、効果は絶大です。

具体例を挙げておきましょう。

  • ティッシュをどんどん出してしまう。→無限ティッシュなどのおもちゃでやるようスライドする
  • なにかをバンバン叩く→叩いてもいいもの(太鼓など)や叩いてもいい時間を作るなどし、そちらへスライドする
  • お菓子を買ってほしくてその場で座り込む→帰る前に公園に寄って行く、家でお菓子作りをする、ご飯を一緒に作るなど、魅力的な別の行動へスライドする

といった具合です。また、

  • 着替えを嫌がる→「着替え」を「どの服を着るか選ぶ」にスライド
  • 大声で騒ぐ・ふざける→「面白そうな絵本を読む」「楽しそうな手遊び」「クイズなど簡単なゲームにスライド

などもとても使いやすいです。

このスライド方式に慣れてくると、細かなぶつかり合いが劇的に減ります。

また、子どもの考えていることや見ている世界がわかってきて、日々の子どもの様子がより興味深くなっていきます

さらに、子どもと心が通じている実感が持てるので、子育てや保育に自信が付き、気持ちを認められてる子ども、子どもを認められている大人、両方の自己肯定感が上がります

それが日々の関係性をよいスパイラルに導いてくれるのです。

とてもいいこと尽くめのスライド方式ですが、そこには注意点もあります

そして、簡単な魔法の言葉でもありません。

ここまでで、「すごい!」と思った方も、「本当に・・・?」と疑っている方も、しっかりと注意点を理解して使ってみていただけたらと思います。

なぜ、スライド方式が有効なのか?

注意点の前に、スライド方式のメカニズムをお伝えしておきます。

それは脳からの抵抗感が少ないからです。

人間は「やめる」というのが難しい生き物です。

ダイエットを例にすると分かりやすいかもしれません。

甘いものが大好きな人がダイエットを決意しました。

以下のどちらの方が続けやすそうでしょう?

  1. 一念発起し完全に甘いものを断つ
  2. 甘いものは食べるが、カロリーの少ないものに変える

鉄の意志を持っている人は別にして、ほとんどの人は2の方が続けやすいでしょう。

これがまさにスライド方式そのものなのです。

別のものに代替することで、変化の大きさを少なくし、より行動を変えやすくなるのです。

もう一つの理由は納得感です。

止められるというのは、言い換えれば、自分の意志を否定されているということです。

しかし、スライド方式であれば、別の提案に自分で考えて乗るという形になるため、自分の意志での行動となり納得感をもって行動を変えられるのです。

きっとこれは大人でも同じですよね。

頭ごなしに否定されれば、反発したくなりますが、考えを受け止められたうえで代案をだされれば、譲歩しようかなという気になります。

大人でもそうなのですから、より本能で行動する子どもであればなおさらでしょう。

では、ここからはスライド方式を使う上での注意点を伝えていこうと思います。

それをしたい気持ちを受け止める(+やめてほしい理由を伝える)

  1. スライド方式を使うには大切な順序があります。
  2. まず、それをしたい気持ちを受け止める。
  3. (わかる年齢であれば)次に、理由も伝える。
  4. 代案に誘ってみる。

この、気持ちを受け止めるという部分が特に重要です。

おろそかにされがちですが、これをするだけで子どもの聞く耳が大きく変わります。

やり方は、ある程度なだめて、声が届きそうなくらいになったら、「これやりたかったの?」「叩いて音が出ると楽しいの?」など、気持ちを言葉で代弁します。

すると、不思議なことに「うん」と、こちらの言葉を聞いてくれるようになります。

この聞く準備が出来ていないと、交渉になりません。

必ず、気持ちを受け止めてから、交渉に入りましょう

数を撃ってみる

スライド方式は最初にお伝えしたように、魔法のような方法でも、お手軽な物でもありません。

これを使いこなすには観察する努力が不可欠です。

スライド方式とは交渉です。

相手のことを知らずに交渉は成立するでしょうか?

相当子どもの行動を理解していない限り、おそらく最初のころは交渉が決裂しまくるでしょう。

ぼくもそうでした。

保育士になりたての頃は、子どもは理不尽だと思って、右往左往していました。

残念ながら、ここは数撃つしかありません

代わりになりそうなものを探したり、その子が食いつきそうなものを考えたり・・・。

ヒーローになりきれば、なんでもする子。

散歩は嫌だと言うのに、砂場があると言えばノリノリで歩く子。

食いつく所は千差万別。

でも、数を撃っていると、なんとなくわかってきます。

わかってくると、交渉が上手くいくことも増え、楽しくなってきます。

簡単ではありませんが、ここで努力しておくと、掴めてきたあとが本当に楽になります

ぶつかり合いを続けていくと、365日戦いが続きます・・・。

ぜひ、試してみてほしいと思います。

癇癪を起こす前に、交渉の席へ

子どもを観察していると、子どもの癇癪スイッチがわかってきます。

スライド方式を使うときは、このスイッチを押す前に交渉の席へついてもらうことが大切です。

やる気満々を10、普通を0、癇癪をー10としてみると、数値が低くなるほど+に持って行くのが大変になります。

なので、少し嫌がっているくらいから、徐々にスライドの弾を撃って行った方が小さな交渉ですむことが多いのです。

物ではなく経験へスライドする

スライドさせる先へも注意点があります。

よくみかけるのは、「これが出来たら、これを買ってあげる」、「アイス買ってあげるから帰ろう」というもの。

余裕がない時などにはとても有効だと思います。

それだけ物というのは、魅力的で輝いて見えるのです。

しかし、それを続けてしまうと、「特別」ではなくなり慣れてきてしまいます。

慣れてくると、より価値の高い物でないと、心を動かされなくなってしまうのです。

最初は手軽ですが、慣れてきた時に苦労します

そこでスライドさせるものを経験にします

「公園でブランコしてから帰ろう」「今日は一緒にご飯を作るから、材料探しにいこう」「何時までに帰って、一緒にあのテレビ見ようか」

など、「楽しい」を感じられるものにするのです。

「楽しい」は慣れません。

「楽しい」ことは「楽しい」のです。

そして、「楽しい」へスライドしていくと、自然に子どもとの「楽しい」が増えていきます。

すると、より「楽しい」ことが思いつくようになるのです。

成長に合わせて理性でコントロール出来るように

最後にスライド方式というのは、自分で見通しをもって行動するのが難しい時期に有効なものです。

いつまでも、自分で行動を決めて律する「自律」ができないままでは困ってしまいます。

なので、自分で考えたり我慢する力に応じて、自分で考え、行動を変える割合を増やしていくことも大切です。

その際も、気持ちを受け止め、理由をしっかり伝えることはしてあげてください。

そして、自分で行動を変えられた時には、「荷物が重たかったから、抱っこしないで歩いてくれて助かったよ」など、「そのおかげで、こんないい結果が生まれたよ」ということを伝えてあげると、自分の行動へ自信や誇りが持て、より自分で深く考えられるようになっていくと思います。

まとめ

今回はぼくが活用している、スライド方式についてお伝えしてきました。

相手の行動を変えようとするのではなく、相手がしてもいいかなという行動を提案する

きっと大人の世界でも同じだと思います。

子どもは小さいけれど、一人の立派な個人です。

それを尊重するだけで、相手もこちらの言葉に耳を傾けてくれるようになります。

そんな実感をスライド方式で感じてもらえたら幸いです。

おまけ~よく使うスライド

いつも着替えを嫌がる子→「かわいい服あるか探しに行こうか」

部屋の中を戦いごっこで暴れまわる子→バトルアリーナを部屋の一角に作り、ルールを決めゲームにしてしまう

動いたり、移動するのを嫌がる子→移動を、動物やキャラクターになりきるごっこ遊びにしてしまう

公園から帰ろうとしない子→「宝探し」「猫探し」など物語を作って、「帰る」ではなく、それを「探しに行く」にスライドする

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