作:みやこしあきこ 出版:ブロンズ新社
ドキドキと緊張が止まらない発表会。
みんなに見せるというのはいつもと全然違います。
そんな時、緊張せずにやるためには・・・。
あらすじ
今日はももちゃんの、初めてのピアノ発表会です。
その日演奏する子どもたちが舞台裏に集まっています。
先生は「いつものように弾けばいいからね」と言いますが、ももちゃんの胸はドキドキし始めました。
二番目の子がステージに行き、ももちゃんは心の中で「大丈夫、大丈夫!」と繰り返します。
すると、足元から「大丈夫、大丈夫!」という小さな声が。
見てみると、子ネズミがいました。
子ネズミは「あたしたちも発表会をしているから見においでよ」と言います。
ももちゃんが順番を待っていることを伝えると、「時間はあるから大丈夫」というので、ついていくことに。
舞台袖の奥に小さなドアがあり、そこを抜けるとネズミたちの舞台があり、観客席にはネズミのお客さんがたくさん座っています。
ネズミの司会者が挨拶すると、サーカスが始まりました。
次に手品、さらに楽器の演奏と歌へと続きます。
そして、バレリーナが登場し、天井から垂れ下がったひもに吊られて、客席の上を踊ります。
その時、ひもがほどけて、バレリーナが真っ逆さまに落ちてしまいました。
でも、落ちたところはももちゃんのスカートの上でした。
バレリーナは慌てて起き上がるとお辞儀をし、ももちゃんは面白くてけらけらと笑いました。
そうこうしていると、隣から「大丈夫、大丈夫」という声が。
それは最初の子ネズミでした。
これから舞台で歌うのに「うまく歌えなかったら・・・」と緊張していたのです。
そんな子ネズミにももちゃんが言いました。
「一緒に出てあげるから大丈夫!」
すると、子ネズミの顔がパッと明るくなりました。
子ネズミはうまく歌えるのでしょうか。
また、ももちゃんは発表会でピアノを弾けるのでしょうか。
『ピアノはっぴょうかい』の素敵なところ
- 発表会前特有のドキドキ感や緊張が伝わってくる
- ネズミたちの不揃いで楽しい発表会
- 発表会に出る時に大切なこと
発表会やみんなの前で何かをする時の独特の緊張感。
喉が渇き、持っているものに力が入り、顔がこわばる独特の感覚。
それがももちゃんの姿を通して、痛いほどに伝わってくるのがこの絵本。
経験した子は「わかるわかる」「ドキドキするよね」と共感します。
抑えようとすればするほど、ますますドキドキしてきます。
そんな中、まさかの発表会のお誘いがありました。
それはネズミの発表会。
ネズミの発表会では、「出る人も見る人も楽しく」を合言葉に発表が進んでいきます。
すごいサーカスも手品も、不揃いなダンスも全部楽しむネズミたち。
上手く出来なくても、楽しむことが大事だと伝わってきます。
そして、楽しくなってくると緊張なんて忘れてしまうことも。
最初緊張で顔がこわばっていたももちゃんと、子ネズミ。
二人の発表会での姿を通して、発表会に出る前に大切なことが伝わってきます。
きっと二人の表情が何よりの答えなのでしょう。
緊張のドキドキと楽しいのワクワク。
その両方が伝わってくる、発表会の前に大切なことを思い出させてくれる絵本です。
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