ことりぞ(4歳~)

絵本

作:京極夏彦 絵:山科理絵 編:東雅夫 出版:岩崎書店

仏間や、大きな木、古いお堂など・・・。

なんだか空気感の違う場所。

何かがいそうな気がする場所。

なにかいるの・・・?

あらすじ

お面を被った女の子が色々な場所を見て回っていく。

おばあちゃんの家の仏壇のある部屋。

神社の横の古いお堂。

お墓の奥にいっぱいあるお地蔵さん。

大きな大きな木。

古くて壊れた誰かの家。

家と家の細い隙間。

人のいない夕暮れ。

「なにかいますか?」と聞いてみる。

すると・・・。

『ことりぞ』の素敵なところ

  • 何かがいそうなところへの本能的な怖さを感じられる
  • 美しさと妙なリアルさが融合した絵
  • ぞくぞくとする静かな怖さ

「なにかいそう・・・」

直感的にそう思ったことは誰にでもあるのではないでしょうか。

なんとなく通りたくない道。

一人では入りたくない部屋。

きっとそれぞれにあると思います。

そんなところへの本能的な、原初的な怖さが鮮明に蘇ってくるのがこの絵本です。

子どもたちも「こんなところ近くにある」「ここ怖いんだよね」と共感して、身近な場所を思い浮かべている様子でした。

これには無駄を全て削ぎ落したような文章と、その絵が大きな要因だと思います。

絵は女の子がお面を被っていたりすることもあり、どこか非現実的な雰囲気があります。

幻想的で日本画のような美しさがあり、見ているだけでも引き込まれそうになります。

しかし、妙にリアルなのです。

女の子が行く場所が物凄くリアルで、本当にそこに訪れているよう。

この幻想的と、現実的が融合していることで、より「なにかいそう」が際立っているのだと思います。

そして、この絵本の一番素敵なところはぞくぞくした怖さです。

悲鳴をあげるような怖さではありません。

ただ、淡々とした怖さがあります。

読み終わった時、みんなが静まり返り、しばらく声が出せない怖さ。

体の芯がぞくぞくとする怖さ。

それを思い切り味わえるのがこの絵本なのです。

「なんか怖い」と思う場所。

そこに焦点を当て、リアルに美しく、しっかりと怖く描かれた怪談絵本です。

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