作:いわいとしお 出版:小学館
苦手なことも、出来ないこともたくさんある。
でも、失敗してでもやりたことがあったなら・・・。
それをやり通すことが出来たなら・・・。
あらすじ
ぼくはトシオ。
でも、ドジばっかりするから、お姉ちゃんたちはドジオと呼ぶ。
そのあだ名は嫌だけど、本当んドジばかりだからしょうがない。
夏のプールでは、後ろ向きに飛び込んだら、プールサイドにあごを打ち、一針縫う大けがをしてしまった。
そんなぼくを心配して、お父ちゃんとお母ちゃんは「自信をつけてあげられないか」と話していた。
そんな中、テレビからカウントダウンをする声が聞こえてきた。
月へロケットが打ち上げられるところだったのだ。
それをみて、宇宙飛行士になりたいと思った。
ぼくはその夜、月へ行く夢を見た。
月は重力が弱いので、そこなら鉄棒も、縄跳びも、跳び箱も何でもできる。
朝、目が覚めると、枕元に前から欲しかった工作の本が置いてあった。
本を見ているうちに、いいことを思いついて、お父ちゃんに相談してみた。
お父ちゃんは「それはすごいな」と、一緒に材料を買いに行ってくれた。
ぼくは早速作り始めた。
でも、指をハサミで切ったりと、ドジばかり。
だけど、諦めずに作り続けた。
そんなぼくを見て、おとうちゃんが自分も昔ドジだったことを話してくれた。
そして、手のひらにある古傷を見せてくれた。
ぼくは頑張って、お父ちゃんと工作を完成させた。
出来上がったのはロケット型の凧。
その凧を持って、凧あげ大会に参加する。
トシオの凧は空高く上がるのでしょうか。
『ぼく、ドジオ。』の素敵なところ
- 諦めないことの大切さが伝わってくる
- トシオの気持ちを大切にする両親の関わり方
- 凧を通して叶うトシオの夢
この絵本で一番熱く伝わってくるのが、諦めないことの大切さです。
好きなこと、やりたいことなら、どんなに失敗してもドジをしても諦めない。
諦めないから完成するし、出来るようになる。
そんなことをトシオの姿を通して、とてもわかりやすく、感情をともなって伝えてくれます。
子どもたちもトシオの姿を見て「痛そう」「頑張って!」と、すっかり絵本に入り込んで応援したり心配したり。
そして、その頑張る姿は、周りにも伝わっていくということも。
また、このトシオの頑張りは、お父ちゃんとお母ちゃん抜きには語れません。
両親は自信をつけさせたいけれど、なにかをさせるようなことはしません。
トシオが興味のあることを考え、自分からしたいことが見つかるように、間接的に援助します。
この関わり方が本当に素敵です。
工作の本を置いておいたのはお母ちゃんですが、そこからロケット凧を作ろうとしたのも、相談してきたのもトシオです。
そんな風に、自分が心からやりたいと思ったからこそ、最後までやり通せたのでしょう。
もちろん、作る途中もさり気なく手伝い、励まし、見守り続けてくれる両親がいなければ完成しなかったことでしょう。
この丁度よい後押しが、トシオの大きな成長に繋がったのだと思います。
さて、そうこうして完成したロケット凧。
いよいよ、お披露目する日がやってきました。
でも、ただ凧が上がって終わりにはなりません。
ここでも様々な出来事が起こります。
この出来事の数々が、この絵本のとても素敵なところです。
頑張った成果や、月への夢など、色々なことを絡め、かつトシオらしい結末は、「ぼく、ドジオ。」だな~と改めて感じさせてくれます。
それが子どもよりトシオに感情移入させてくれ、自分も頑張ろうと思える部分でもあるのです。
とってもドジで、苦手なことがたくさんあるトシオ。
そんなトシオが頑張りやり通す姿を見て、自分も頑張ってみようという勇気をもらえる絵本です。
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