作:石井聖岳 出版:小学館
どこにでもいる普通のパンダ。
しかし、ある不思議な力を持っていたのです。
そのパンダが「パンダ!」と叫ぶと・・・。
あらすじ
ある日、野原でパンダさんがゴロゴロしていたら、動物たちがやってきた。
「あれやって」と言う動物たち。
パンダさんが面倒くさそうに起き上がり、「はいっ!パンダ!!」と叫ぶと、ウサギの色が白黒のパンダになったのです。
ネコたちも、タヌキもカエルもパンダになりました。
パンダたちが、ウロウロしたりだら~んとして、ますますパンダになっていると、雨が降ってきました。
すると、パンダたちは元雄通りの姿に戻ってしまうのでした。
しばらくして、雨がやみ晴れました。
パンダさんがお昼寝していると、また動物たちが「あれやって」と言いに来ます。
パンダになった動物たちは、こっそりライオンさんに近づくと、草むらの影から「パンダ!!」と叫び、ライオンさんをパンダにしてしまいました。
ワニさんも、チーターくんも。
自分がパンダになったと気づいた3匹はびっくり。
その姿を見て、思わず吹き出してしまったパンダたち。
「お前たちの仕業だな」と追いかけっこが始まると・・・。
また、雨が降って来て、みんな戻ってしまいました。
それからそれから、また雨がやんで・・・。
『みーんなパンダ』の素敵なところ
- 色んな動物がパンダになる面白さ
- 一緒に言いたくなる「はいっ!パンダ!!」
- 休日のお父さんみたいなパンダと、子どもたちみたいな動物
この絵本の一番の魅力は、色んな動物がパンダになってしまう面白さにあると思います。
よく知っている動物たちが、白黒のパンダ模様になる面白さ。
ウサギやネコなど小さな動物から、ライオンやワニなどの猛獣まで。
パンダになるたび「ライオンさんもパンダになった!」とみんな大喜びの大笑い。
わちゃわちゃする中で、「シマウマはいつもと変わらないよね」と鋭いツッコミを入れる子も現れます。
そんな、「色んな動物がパンダになる」という単純な構図が、純粋に面白いのです。
パンダにする時の合言葉もシンプルです。
「はいっ!パンダ!!」や「パンダ!!」と叫べば、パンダになってしまいます。
子どもたちも「ええ!?」とびっくり。
簡単でシンプルゆえに、一緒に言いたくなってしまいます。
パンダが「はいっ!」と言うと、みんな自然に「パンダ!!」と叫ぶ。
お約束みたいになっていました。
さて、このパンダと動物たち。
まるで、休日のお父さんと子どもたちみたいな雰囲気なのも素敵なところ。
毎回、のんびりしているパンダさんのところに来て、「あれやって」と引っ張ったり、乗っかったり。
パンダさんも面倒そうに起き上がり「わかったわかった」と、億劫そうにやってくれます。
でも、遊び始めると、一緒に遊んでくれるパンダさん。
そして、雨が降って来て、元に戻った動物たちに「またやってね」と言われると、「わかった、わかった。晴れたらね」と去っていく。
その姿は、一仕事終えたお父さんのよう。
このやり取りと、いつものっそり面倒くさそうなパンダさんが妙に癒されるのです。
色んな動物たちがパンダになる。
そんなシンプルな面白さと、パンダさんの休日のお父さんみたいなアンニュイな雰囲気が、絶妙な空気感を醸し出している絵本です。
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