作:片山健 出版:福音館書店
急に家に来た謎のネコ。
片目をケガしている訳も、謎の行動の理由も。
全てが謎に包まれているのです。
あらすじ
私は、父、母、姉の四人家族。
ある日、家族でご飯を食べていると、片目がケガでつぶれたネコが入ってきた。
そして、当たり前のように私の膝の上に座った。
翌朝、私が目を覚ますと、ネコは私の布団の上で気持ちよさそうに寝ていた。
お父さんはネコに「タンゲくん」と名前を付けた。
お母さんはタンゲくんの目に薬を塗り、眼帯をしようとしたけど、すぐ取ってしまった。
タンゲくんはうちのネコになった。
妙に掃除機を怖がったり、満月の夜には狂ったように家中走り回ったりする変なタンゲくん。
でも、私はタンゲくんが大好き。
だけど、タンゲくんに「私のネコだよね?」と聞くと、決まって外に出て行ってしまいます。
外で何をしているのかはわかりません。
外で会っても、すぐ隠れたり知らんぷりするのです。
タンゲくんはどこに行くんだろう・・・。
『タンゲくん』の素敵なところ
- ふらりと現れる謎多きタンゲくん
- 私だけに懐いてくれるかわいいタンゲくん
- ネコのいる生活が想像できる
急に現れ、当たり前のように家族に入ってくるタンゲくん。
その過去や行動は謎に包まれています。
片目をケガした理由も、外では何をしているのかも、満月で走り回る理由も全てが謎。
だからこそ、「私」と一緒に想像が膨らみます。
「誰かとケンカしたのかな?」
「自分で引っ掻いちゃったのかも」
「狼男なんじゃない?」
などなど、タンゲくんの謎を考える子どもたち。
それぞれに、タンゲくん像が出来上がっていきます。
でも、一つだけわかっていることがあります。
それは、私だけに甘えるタンゲくんが可愛いということ。
必ず私の膝や布団に来るタンゲくん。
お父さんや、お母さんに呼ばれても見向きもしません。
自分だけに心を許してくれるタンゲくんは、まさに特別です。
見ていると、タンゲくんを撫でたり、抱っこしたくなってきます。
それがわかってさえいれば、謎だらけでも関係ありません。
タンゲくんのことが大好きになってしまうでしょう。
さらに、この絵本には「ネコと暮らしたらどうなるのか」を想像させてくれる情景がたくさん出てきます。
朝起きたら、布団の上で丸まっているネコ。
机の上を占領して、勉強の邪魔をするネコ。
自分の作ったご飯を食べてくれるネコ。
自分のお腹の上に乗って眠るネコ。
これを見ていると、自分もネコのいる暮らしをしてみたいなと思えてきます。
子どもたちも、
「かわいい~」
「あったかそう・・・」
「うちだったら、棚の上に登りそう」
など、自分がネコと暮らすところを想像しているようでした。
謎多きネコであるタンゲくん。
謎だからこそ、想像力が膨らみ自分だけの可愛いタンゲくんを作り出せる。
自分だけのタンゲくんと一緒に暮らした気分になれる絵本です。
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