作:エリック=カール 訳:アーサー・ビナード 出版:偕成社
進学や引っ越しなどで、大好きな友だちと離れ離れになることもあるでしょう。
でも、一生の別れじゃない。
ずーっと、探し続けていれば・・・。
あらすじ
仲良しは二人から始まる。
一緒に遊んで、秘密を話すようになったら一番の仲良しさん。
ところが一番の仲良しさんが遠くへ行っちゃった。
ぼくは探しに行くことにした。
心の準備をして、川に飛び込んだ。
川の向こうに着くと、星空が広がっていた。
星空の下ぐっすり眠り、起きるとでっかい山がそびえ立っていた。
山を登り、向こう側に行くと、そこははらっぱ。
進んでいくと、急に雨が降ってきた。
雨がやみ、空に浮かぶわた雲を見ているうち、森が現れた・・・。
ぼくは一番の仲良しさんに再開できるのだろうか。
『いちばんのなかよしさん』の素敵なところ
- 一人称視点で描かれる大冒険
- 散りばめられた楽しい言葉
- 一番の仲良しさんを探したくなる、会いたくなる
この絵本は、遠くへ行ってしまった一番の仲良しさんを探す大冒険。
その険しい道のりは、自分から見た一人称で描かれます。
波打つ川の水。
夜空にいっぱいの星。
そびえ立つ山。
それらに「ぼく」の姿は描かれず、見える光景だけがいっぱいに描かれます。
その道中は、まさに自分が冒険し、分け入ってくような感覚。
厳しい時も、楽しい時も、のんびり穏やかな時もある、子ども心をくすぐる冒険が待っています。
また、言葉の使い方もこの絵本の素敵なところ。
まず、全体が「ぼく」の語り口で描かれています。
「優しい星の下でぼくは眠ったんだ」
「日差しは暑いけど、草の中を歩くのって気持ちいい」
など、「ぼく」が感じたことや見たことがストレートに伝わってくるのです。
それだけでなく、探しに行く前に10数えたり、「ででぇん」と山がそびえ立っていたり、「もりもりっと」森が現れたりと、聞くのも言うのも楽しい言葉が、色々なところに散りばめられているのも素敵なところ。
中でも「いちいちいちばん!のなかよしさん」はこの絵本を象徴する素敵な言葉。
自分も一番の仲良しさんと言い合いたくなる言葉です。
この絵本を読んでいると、子どもも大人も一番の仲良しさんを探したり、中々会えない仲良しさんに会いたくなってきます。
子どもたちも
「私の一番の仲良しさんは○○ちゃん!」「そうだよね~♪」と抱きしめ合う。
その日休みの子を想い「○○くんに会いたいな~」と改めて感じる。
など、仲良しさんを再確認しているようでした。
この絵本をきっかけにまた会うようになった仲良しさんがいるかもしれません。
「ぼく」の大冒険を通して、仲良しさんの大切さを感じさせてくれる。
いちいちいちばん!のなかよしさんを探したくなる、会いたくなる絵本です。
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