文:長井理佳 絵:久保晶太 構成:後路好章 出版:あすなろ書房
豆のような小さなネコ。
自分も豆のように小さくなれば、ねこまめたちへ仲間入り。
いつもの部屋も公園も、小さくなればいつもと違う遊びが待っています。
あらすじ
お豆の好きな女の子まめこ。
ある日、縁側に落ちているきんちゃく袋を見つけました。
中には手紙と3つの豆。
手紙の通り、その豆を庭に埋めて育てていくと、たくさんの豆が出来ました。
そして、さやの中から豆のように小さな、たくさんのネコが生まれたのです。
すると、まめこも小さくなって、ネコたちの仲間入り。
まめこの部屋で遊ぶことになりました。
小さくなると、部屋にあるもの全てが巨大。
靴下に入ったり、クレヨンを抱えて絵を描いたり、積み木に登ったりして遊びます。
キッチンでも、まめこの家のネコまめぞうの上でも、外遊びでも。
いつもとは違った遊びがいっぱい。
草花と、虫たちと、まだまだ楽しい遊びは続いていきます。
『ねこまめ』の素敵なところ
- 数えきれないほどのネコたちのかわいい行動
- 明かされない謎のネコの正体
- 少し不思議な最後
この絵本の素敵なところは、小さなネコたちがそれぞれ自由に好きなことをしているところだと思います。
それが、一つのページの中にぎっしりと描き込まれているのです。
しかも、たくさん描かれているだけではありません。
それぞれのネコに特徴づけがされていて、それぞれのネコがそれぞれのページで特徴的な行動をしているのです。
太っちょのネコはどのページでもなにか食べている。
アクロバティックなネコはいつもダイナミックな動きをしている。
というように。
子どもたちも見ているうちに、「また、食べてる!」「また、あらよっとって言ってる」などと気付き始め、それぞれのネコが何をしているかがさらに気になってきます。
また、自分がお気に入りのネコが、なにをしているのか探すのも面白く、その行動を見るたびにお気に入りのネコのイメージが膨らんで、より愛着が強くなっていくのです。
さて、魅力的なネコたちですが、ねこまめを配っていると思われる謎のネコがいます。
このネコは常にまめこに気付かれるよう、忍者のように物陰から見守っています。
子どもたちも「誰か隠れてる!」「あのネコがあげたのかな?」と想像が膨らみます。
ですが、正体が明かされることはありません。
それどころか、裏表紙に映る姿を見て、さらに謎が深まるばかりです。
このネコの正体や、目的を想像するのもまた面白いところです。
そんな不思議で面白いお話ですが、その終わりも不思議なもの。
現実だったのか、夢だったのか曖昧に終わります。
でも、所々に残されたたものが、想像力をかきたててくれもくれます。
「これがあるからほんとだよ」
「きっと帰っちゃったんじゃない?」
と、どうなったのかや、この後どうなるかを予想して盛り上がっていました。
お気に入りのネコを探してもよし、全部のネコを楽しんでもよし。
自分の中で色々な想像、楽しみ方が広がっていく絵本です。
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