かいぶつのとしょかん(4歳~)

絵本

作:ふくいりえ 出版:大日本図書

ある日、怪物を見つけ追いかけていくと、そこは図書館だった。

でも、普通の図書館とはちょっと違う。

本の中を出入りできる図書館だったのです。

あらすじ

ある日、ウサギのうっさーが家を出ると、不思議な足跡を見つけた。

追いかけてみると、怪物が歩いていた。

怪物の尻尾に乗った小さな怪物が、おいでおいでをしているように見えたので、うっさーはこっそりとついていくことにした。

川を越え、森を抜け、たどり着いたところは大きな木。

そこには扉があって、中に入っていくと図書館だった。

ドキドキしながら足跡の主に話しかけてみると、歓迎してくれた。

小さな怪物のことを話すと、一冊の本を渡してくれる怪物。

なんとその本から、小さな怪物は現れた。

と思ったら、他の怪物たちも本からたくさん飛び出してきたのだ。

この図書館では本の中の住人が、出たり入ったりして遊んでいるらしい。

怪物による図書館の案内が終わり広場に戻ってみると、本から出てきた怪物たちが退屈して暴れ始めていた。

そこで、小さな怪物が笛を吹き、怪物たちを集めて隣の部屋へ。

一体なのが始まるのでしょうか。

『かいぶつのとしょかん』の素敵なところ

  • 漫画調の動きのあるページ構成
  • 描き込まれた本や怪物たち
  • 絵本の中と外が自然に繋がる魅力的な世界

この絵本の一番の魅力は、なんといっても細部まで描き込まれた本や怪物たちだと思います。

膨大な数の本、たくさんの数えきれない怪物たち。

それらが大切に一つ一つ描き込まれているのです。

本棚に置かれる膨大な蔵書たちは、色とりどりの背表紙だけでなく、表紙が見えるように置いてある本もあります。

それらはなんの本かわかるほどに、絵や文字がしっかりと描かれているのです。

中には見たことがある本もちらほら。

そんな遊び心も絵本好きにはたまらないところでしょう。

「あ、これ家にある絵本だ!」と気付いた子の喜びようは、宝物を発見したかのようでした。

本だけでなく、怪物たちの描き込みも相当なもの。

ケンカをしたり、雷を出したり、眠っていたり・・・。

それぞれが特徴的な行動をしています。

怪物同士も表情豊かに関わり合っていて、関係性がなんとなくわかったりします。

そんな怪物たちの行動を見ていると、どんな特徴や技を持っているのかや、どんな性格なのかがなんとなくわかってくるから面白い。

「こいつは氷を使えるんだよ!」

「この子はのんびりやさん」

など、怪物たちへの愛着と想像が広がっていくようでした。

また、この描き込まれた絵をさらに魅力的にしてくれているのが、漫画調のページ構成でしょう。

このページ構成のおかげで、1ページの中に細かな動きが出て、一つ一つの場面が躍動感あるものになっています。

うっさーが歩く、図書館までの長い道のり。

木の中の階段を下っていくドキドキ感。

怪物が少しずつ集まってくる様子。

などなど、冗長にならず、でも細かな部分までわかるように描かれているのです。

これにより、キャラクターたちが生き生きとより魅力的に映るのです。

さて、そんなキャラクターたちですが、もの凄く自然に本の中と外を行き来します。

ちょっと公園に行くくらいの感覚です。

本の中に戻っても、元に戻る感じではありません。

本の中に遊びに行く感じなのです。

本の外が楽しそうなら外に行き、中が楽しそうなら本に入る。

そんな風に、境界線を感じさせず、自然に行き来するのです。

そして、絵本を読むことが、絵本の中にいるキャラクターたちとの最高の遊びになっているのも、本当に素敵だなと思います。

個性豊かで魅力的な怪物たち。

そんな怪物たちと、一緒に本を楽しむことが出来る不思議な絵本です。

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