作:鈴木康広 出版:ブロンズ新社
一見関係なさそうなこの二つ。
ですが、実は深い関係があったのです。
りんごとけん玉の話が、宇宙まで広がっていくすごい絵本です。
あらすじ
りんごとけん玉は仲がいい。
それには訳がある。
りんごを食べた後の芯はけん玉のお皿と同じ形。
いつ落ちてくるかわからない所や、頭に当たると気絶しちゃうところも一緒。
そんなりんごと剣で戦おうとした人がいた。
その剣が、けん玉の剣の部分。
枝から切ったりんごをお皿でキャッチした人もいた。
これがけん玉のお皿の部分。
けん玉は、剣とお皿が一つになった形をしている。
落ちてくるりんごを見て、ニュートンは引力を発見した。
つまり、りんごは地球の中心と一本の線で繋がっているということ。
この、引力の線が見えていれば、簡単にけん玉が出来るようになる。
この線に沿って、けん玉を引っ張り上げるだけ。
けん玉の灯台と言う技。
海にある灯台も、この技と同じように地球に引っ張られている。
けん玉が月面着陸する技もある。
そういえば、けん玉のお皿は月のクレーターにも似ている。
月の中にはたくさんのけん玉が埋まっているのかもしれない。
さらにりんごとけん玉にはすごい秘密が隠されている。
それは・・・。
『りんごとけんだま』の素敵なところ
- りんごとけん玉の意外な関係
- 身近なものから宇宙まで広がる視野
- ちゃんとけん玉のコツがわかる
この絵本ではあまり知られていない、りんごとけん玉の意外な関係性が解き明かされます。
なんであんな形をしているのか?
なんであんな名前なのか?
色々な疑問に答えてくれます。
さらに、りんごと人の戦いという物語でとってもわかりやすい。
この話を聞いてしまうと、もうけん玉の玉がりんごにしか見えなくなってしまいます。
子どもたちも妙に納得。
「だからお皿なのか~」
「ほんとに剣の形と一緒だ!」
と目を丸くしていました。
でも、驚くのはまだまだこれから。
引力の話へと繋がり、地球規模・宇宙規模へとスケールを広げていきます。
りんごと地球の引力。
地球と月の引力。
さらには自分と地球の引力へ。
りんごとけん玉を通して、物理法則を感じ取り始めるのです。
これがわかってくると、色々なものの見方が変わってきます。
投げたボール。
落としたお皿。
引力がないとどうなるのか・・・。
地球の不思議とおもしろさへと繋がっていくのです。
普通は難しい引力の概念。
ですが、りんごとけん玉と身近過ぎる題材を使うことで、イメージしやすくわかりやすいのも本当にすごい所だと思います。
子どもたちも、
「だから、ジャンプしても落ちてくるのか!」
「あれもそうかな?」
と色々なことを頭に思い浮かべたようでした。
そんな壮大なこの絵本ですが、ちゃんとけん玉のことも忘れてはいません。
なぜなら、この絵本を読むと、しっかりけん玉のコツや技がわかるからです。
けん玉のコツ。
それはまさに引力を操ること。
この絵本を見ると、引力線が見えてきます。
それさえ見えればあとは簡単。
引力線に沿って引き上げるだけなのです。
これを伝えるのって実は大変。
「真っ直ぐ上げるんだよ」と言っても、中々伝わりません。
それをりんごとけん玉と宇宙を通してわかりやすく伝えてくれるのです。
りんごとけん玉から始まる壮大なお話。
ですが、しっかりけん玉のコツへ繋がっているという、けん玉愛に溢れた絵本です。
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