作:市原淳 監修:関一夫 出版:ディスカヴァー・トゥエンティワン
赤と青のアメーバみたいな生き物。
ほとんど「もい」しかしゃべりません。
でも、なぜか2匹の気持ちが伝わってくるから不思議です。
あらすじ
青空を浮かぶ赤いアメーバのような生き物と、青いアメーバのような生き物。
2匹は近づき「もい もい?」と相談をしているみたい。
しばらくすると、たくさんに分裂し始めました。
そして、小さな赤と青が一匹ずつになり・・・。
と、思いきや一気に大きくなりました。
元の大きさに戻った2匹。
青が「もいもい」と言うと、赤は「ぽ」とくちばしのように体を突き出して来ました。
そこから体を広げて「ぱ」。
今度は尻尾のようなところを伸ばして「もーーーい」。
2匹はまだまだ遊んでいるみたいです。
『もいもい』の素敵なところ
- 感性だけで読める絵本
- 真似したくなる、真似しやすい言葉
- 体も一緒に動かしたくなる動き
この絵本の一番素敵なところは、感性だけで読めるところだと思います。
細かいことは気にせずに、ただそこにあるものを楽しむだけでいいのです。
絵、動き、音・・・。
だからこそ、0歳の赤ちゃんから~大きな子までそれぞれの楽しみ方が出来るのです。
小さな子であれば、指差ししたり、一緒に真似をしたりして楽しむでしょう。
大きい子であれば、そこにストーリー性や「挨拶してるのかな?」「遊ぼうって言ってるんだよ!」と、なにを表現しているのか想像したりして楽しみます。
発達に応じて、それぞれに楽しめるのがこの絵本ならではの魅力です。
また、出てくる言葉が真似しやすいものと、真似したくなるように描かれているのも素敵なところです。
まずほとんどが「もい」で出来ています。
マ行は喃語でもよく出てくる、発語しやすい音。
赤ちゃんには言いやすい音なのです。
「もい」の他にも「まいまい」「むいむい」なども出てきて、これらも言いやすい音になっています。
もう一つが「ぱ」、この破裂音も赤ちゃんが出しやすく、マ行とは違う気持ちよさがある音です。
読んでいると、系統の違う音を出したり、聞く気持ちよさを味わえることでしょう。
さらに強弱やアクセントなど、真似したくなる工夫がたくさんされているのも面白いところ。
とても小さな「もいもい」や、とても大きな「もいもい」。
伸ばす「もーーーい」や疑問形の「もい?」など、バリエーションが豊富です。
その場面ごとの「もい」を一緒に言いたくなってしまうのも自然なこと。
真似したくなる魅力に溢れています。
そして読んでいると、一緒に体も動かしたくなってきます。
それは言葉と動きが綺麗に連動しているからでしょう。
「ぱ」のところでは、アメーバがパーのように広がります。
これを見ていたら、自然と自分の手も広げて「ぱ」と言いたくなってしまいます。
「もーーーい」と伸ばすところでは、アメーバの体も伸びています。
自分だって体を伸ばして「もーーーい」と言いたくなるのは当たり前。
こんな風に、読んでいると、自然と言葉に合わせた動きをしたくなってしまうのです。
不思議な生き物たちによる、ほとんど「もい」で語られる。
赤ちゃんから大きい子まで、音も動きも真似したくなる、魅力に満ち溢れた絵本です。
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