どろにんげん(3歳~)

絵本

作:長新太 出版:福音館書店

急に現れ、大きなサツマイモを掘り出したどろにんげん。

それを食べたいタコ。

二人のゆる~い会話と、豪快な冒険がくせになる絵本です。

あらすじ

ある日、地面からどろにんげんがにゅーっと出てきました。

海からはタコが顔を出しています。

どろにんげんが泥の中から、大きなサツマイモを掘り出しました。

すると、タコがサツマイモを引っ張ります。

どろにんげんも負けじと引っ張ります。

どろにんげんが「もう、やめよーよ!」と大きな声で言うと、タコが「だって、おいもが食べたいんだものー」と言いました。

そこで、どろにんげんはいいことを思いつきました。

二人でおいもを担いで進んでいきます。

坂道は転がして、川の所はおいもを橋にして。

そして、山道を登っていきます。

二人はどこに向かっているのでしょう。

どろにんげんのいい考えとは一体。

『どろにんげん』の素敵なところ

  • とてつもなく大きなおいも
  • 豪快過ぎるいい考え
  • 二人の子どもみたいでゆる~い会話

この絵本で一番印象的なのは、とてつもなく大きなサツマイモでしょう。

二人で持てるのが不思議なくらいの大きなおいも。

それだけで「でっけぇ!」「こんなの持てるの!?」「力持ちだね!」と歓声があがります。

常にページの中心にはおいもがあり、どろにんげんとタコよりも目立ちます。

そして、色使いが妙にリアル。

とても美味しそうなのもポイントです。

そんなおいもを運ぶのだから、一筋縄ではいきません。

坂道では転がして楽をしたり、川では橋の代わりにしたり。

その道中はまさに豪快。

子どもたちも、

「おいも割れちゃわない!?」

「重そうだよ、大丈夫かな・・・」

「橋にもなるんだね!」

と、その冒険を楽しんだり心配したりと大忙し。

しかし、運んだ先ではさらに豪快な「いい考えが」待っているのでした。

それを見ると「ええ!?すごい!」「やってみたーい!」と大興奮。

本当に「いい考え」だったみたいです。

さて、そんな豪快な冒険ですが、その中で交わされる二人の会話はゆる~い感じです。

それもこの絵本の素敵なところ。

おいもを引っ張り合っている時に「もうやめよーよ!」と言えば、「だって、おいもが食べたいんだものー」と素直な答えが返ってくる。

道中でタコが「さむいなー。お腹が空いたよおー」と泣き声で言えば、「もう少しの辛抱だよ」と優しく励ましてくれたり。

まるで、子ども同士の会話のような、素直でゆるい会話が続くのです。

だからこそ、子どもたちにも二人の気持ちが自然に入ってくるのでしょう。

自然と感情移入して、一緒においもを運んでいるようでした。

どろにんげんとタコの素直なやり取りになんだか癒される。

とてつもなく大きなおいもを巡る、とてつもなく豪快な冒険を描いた絵本です。

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