作:長新太 出版:福音館書店
急に現れ、大きなサツマイモを掘り出したどろにんげん。
それを食べたいタコ。
二人のゆる~い会話と、豪快な冒険がくせになる絵本です。
あらすじ
ある日、地面からどろにんげんがにゅーっと出てきました。
海からはタコが顔を出しています。
どろにんげんが泥の中から、大きなサツマイモを掘り出しました。
すると、タコがサツマイモを引っ張ります。
どろにんげんも負けじと引っ張ります。
どろにんげんが「もう、やめよーよ!」と大きな声で言うと、タコが「だって、おいもが食べたいんだものー」と言いました。
そこで、どろにんげんはいいことを思いつきました。
二人でおいもを担いで進んでいきます。
坂道は転がして、川の所はおいもを橋にして。
そして、山道を登っていきます。
二人はどこに向かっているのでしょう。
どろにんげんのいい考えとは一体。
『どろにんげん』の素敵なところ
- とてつもなく大きなおいも
- 豪快過ぎるいい考え
- 二人の子どもみたいでゆる~い会話
この絵本で一番印象的なのは、とてつもなく大きなサツマイモでしょう。
二人で持てるのが不思議なくらいの大きなおいも。
それだけで「でっけぇ!」「こんなの持てるの!?」「力持ちだね!」と歓声があがります。
常にページの中心にはおいもがあり、どろにんげんとタコよりも目立ちます。
そして、色使いが妙にリアル。
とても美味しそうなのもポイントです。
そんなおいもを運ぶのだから、一筋縄ではいきません。
坂道では転がして楽をしたり、川では橋の代わりにしたり。
その道中はまさに豪快。
子どもたちも、
「おいも割れちゃわない!?」
「重そうだよ、大丈夫かな・・・」
「橋にもなるんだね!」
と、その冒険を楽しんだり心配したりと大忙し。
しかし、運んだ先ではさらに豪快な「いい考えが」待っているのでした。
それを見ると「ええ!?すごい!」「やってみたーい!」と大興奮。
本当に「いい考え」だったみたいです。
さて、そんな豪快な冒険ですが、その中で交わされる二人の会話はゆる~い感じです。
それもこの絵本の素敵なところ。
おいもを引っ張り合っている時に「もうやめよーよ!」と言えば、「だって、おいもが食べたいんだものー」と素直な答えが返ってくる。
道中でタコが「さむいなー。お腹が空いたよおー」と泣き声で言えば、「もう少しの辛抱だよ」と優しく励ましてくれたり。
まるで、子ども同士の会話のような、素直でゆるい会話が続くのです。
だからこそ、子どもたちにも二人の気持ちが自然に入ってくるのでしょう。
自然と感情移入して、一緒においもを運んでいるようでした。
どろにんげんとタコの素直なやり取りになんだか癒される。
とてつもなく大きなおいもを巡る、とてつもなく豪快な冒険を描いた絵本です。
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