作:南部和也 絵:とりごえまり 出版:教育画劇
毎日楽しい放送をしているネコのラジオ局。
ここではネコのヒゲで電波を飛ばし、ヒゲで受信をするのです。
そんなヒゲを使った送受信には、ある課題がありました・・・。
あらすじ
あるところに、ネコのラジオ局がありました。
ここでは楽しい音楽を、毎日生放送で届けています。
電波は屋上にいるネコたちがヒゲから飛ばし、街のネコたちもヒゲがアンテナになって音楽を聴くことが出来ます。
ラジオ局のメンバーは、
プロデューサーが白黒ネコのツートン。
パーソナリティは白ネコのサリー。
エンジニアにブラウンタビーのハル。
の3匹です。
この3匹が番組を作り、ヒゲでマイクで音を集め、電波に変えて屋上に送るのです。
でも、このラジオ局には一つだけ問題がありました。
ヒゲの電波はあまり遠くまでは届かないので、音楽を聴くためにはラジオ局の近くに来なくてはならなかったのです。
そこでツートンがハルに相談すると、ネコのヒゲより長くて立派なヒゲを使えば出来ると言います。
その話を聞きツートンはハルとサリーを連れ、ヒゲクジラからヒゲをもらうため、海へ出かけることにしました。
ボートに乗りしばらく進むと、ヒゲクジラを見つけました。
事情を話し、ヒゲを貰えないか相談すると、自分も音楽を聴きたいからと了承してくれるヒゲクジラ。
しかし、引っ張ってみても、中々ヒゲは抜けません。
3匹は無事、クジラのヒゲを持って帰り、アンテナにすることが出来るのでしょうか。
『ネコのラジオ局』の素敵なところ
- ヒゲで電波の送受信
- 電波を強くするための単純明快な理屈
- 色んな動物が「音楽を聴いてるのかな?」と思えてくる
この絵本では、ネコのラジオ局の秘密が全てわかります。
番組の作り方も、どんなことをやっているのかも。
その中でも意外なのが電波の送受信の仕方です。
まさかのヒゲで送受信。
まさにネコならではの手法です。
よくヒゲが揺れているのも、電波を受信しているからかもしれません。
きちんとマイクもヒゲで出来ていて、細かい設定も徹底しています。
そして、その問題点もヒゲに起因しています。
それは電波が弱いこと。
確かにネコのヒゲを見ると、細くてフワフワしていて、電波が弱そう・・・。
なんだかわかる気がします。
子どもたちも、細かいことはわからなくても、これは直感でわかるみたいで、「確かに細いもんね~」と納得。
この問題を解決するため、技術会議が開かれます。
そこでは小難しいことが話し合われるのですが、解決法は単純明快。
「より長くて立派なヒゲを使う」
これだけ。
もの凄くわかりやすく、説得力ある解決法に「そっかぁ!」と子どもたちも感心です。
この絵本は子どもにはラジオについてや音楽について、少し難しい話がありつつも、話の大筋が単純明快でわかりやすいのが素敵なところだと思います。
さて、この絵本を読むと、動物たちの動きがリズムを取っているように見えてくるから不思議です。
ヒゲの揺れ、身体の揺れ、表情・・・。
色んな事がリズムを取っているように見えてくるのです。
それを見て自然と、「電波を受信しているのかな?」と思えてくる面白さ。
それがこの絵本の一番素敵なところなのかもしれません。
ネコのラジオ局の知られざる秘密。
その秘密を知ることで、色々なところにネコの電波を感じられるようになる絵本です。
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