おばけにプレゼントくれませんか?(4歳~)

絵本

作:せきゆうこ 出版:PHP研究所

楽しいことを探していたオバケたち。

ある日、人間の世界に「誕生日会」なるものがあることを聞きつけます。

オバケたちは、誕生日会乗っ取り作戦を決行しますが・・・。

あらすじ

人里離れた山奥に、オバケたちが漂っていました。

オバケたちはいつも「何かいいことないかな~」と考えていました。

そんなある日、町に行っていたオバケが慌てて帰ってきました。

そのオバケが言うには、ちまたでは「お誕生日会」と言うもので盛り上がっているらしいのです。

プレゼントを貰え、ケーキを食べ、ちやほやしてもらえるのだそう。

そこでオバケの親分と仲間たちは、もうすぐ開かれるという、大きな屋敷のぼっちゃんの誕生日会を乗っ取ることにしました。

オバケがぼっちゃんに化けて、ぼっちゃんの代わりにプレゼントもごちそうも、もらってしまおうというのです。

まずは聞き込みをして、ぼっちゃんの情報を集めます。

情報が集め終わると、いよいよオバケはぼっちゃんの姿に変装します。

そして、ついに誕生日会の日を迎えました。

ぼっちゃんに変装したオバケと一緒に、他のオバケたちも招待客に化けて参加します。

パーティー会場に通されて、オバケたちが見たのは豪華なごちそうの数々でした。

胸が躍るオバケたち。

そんな中、大きないびきが聞こえてきます。

見ると、誕生日の帽子を被り、毛布にくるまり眠っている者がいるではありませんか。

オバケたちはぼっちゃんに違いないと、その帽子を奪います。

いよいよ乗っ取りを開始しようとしたその時・・・。

「ワン!」と犬の鳴き声が。

寝ていたのはなんと犬だったのです。

オバケたちはぼっちゃんの写真に、犬が映っていたのを思い出しました。

オバケたちは考えました。

犬の方がぼっちゃんだったのだと。

さあ、大変です。

こうなったら犬に化けないといけません。

オバケたちは色々なものを使い、なんとか犬に化けることが出来ました。

そうこうしているうちに、パーティー会場へお客さんがどんどんやってきます。

いよいよ本当に乗っ取り計画を決行する時がやってきました。

ぼっちゃんは食いしん坊ということで、まずは目の前の料理を口いっぱい頬張ります。

しかし、それはドッグフードでした。

とても食べられたものではありません。

気を取り直して、ボール遊びが好きというのを見せることに。

他のオバケが投げたボールを、犬に化けたオバケが取りに行きます。

ですが、ボールはプールの中に落ちてしましました。

そして、オバケも一緒にプールの中へ。

オバケは泳ぐことが出来ません。

そのままプールの底へ沈んでいくオバケ。

このまま死んでしまうのでしょうか。

もう死んでいるのですが・・・。

『おばけにプレゼントくれませんか?』の素敵なところ

  • 愛嬌がありつつもしっかり不気味なオバケ
  • 最初から最後まで自業自得なオバケたち
  • 最後の最後にどんでん返し

この絵本のオバケたちは、表情豊かでどっちかというとかわいいオバケ。

ですが、どこか不気味な雰囲気も、しっかり持っているのが素敵なところです。

影があったり、恨めしそうな顔をしているからかもしれません。

陽気で調子がよく、ノリノリですが、ちゃんとオバケらしい怖さがあるのです。

そんなオバケたちが繰り広げるのは、誕生日会の乗っ取りです。

もう完全に自分たちのため。

ろくなことをしない悪い奴です。

でも、誕生日会では勘違いが勘違いを呼び、犬に化けたり、ドッグフードを食べたり、プールに落ちたりと踏んだり蹴ったり。

最後に残った一つの希望も、しっかり失敗に終わるという徹底ぶり。

ですが、全部自業自得で、全然かわいそうな感じがしないのが、この絵本のすごいところだと思います。

「悪いことしようとするからー」

「自分のせいだよね~」

と、子どもたちからも呆れられてしまいます。

でも、憎めないのがこのオバケたちの魅力です。

何回も、このしょうもないオバケたちを見たくなってしまうのです。

また、最後の最後にまさかのどんでん返しが用意されているのも、面白いポイントです。

これには子どもたちも、

「えー!?」

とびっくり。

終わったと思っていたら、まさかのネタばらしがあり、思わず見返したくなってしまいます。

これを知って、2回目に見ると、また違った面白さが感じられるのではないでしょうか。

誕生日会を乗っ取るために、あの手この手で知恵を絞るオバケたち。

そんな悪だくみが、全部見事に失敗していく自業自得な、けどなんだか憎めないお話です。

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