はこちゃん(5歳~)

絵本

文:かんのゆうこ 絵:江頭路子 出版:講談社

家族がつけてくれた自分の名前。

そこには、色々な願いが込められています。

「自分の名前にはどんな意味があるんだろう?」

そんな疑問が自然と湧いてくる絵本です。

あらすじ

放課後の校庭で、はこちゃんたちは砂に名前を、漢字で書いて遊んでいました。

最初はみくちゃん。

「未来」と書いて、「素敵な未来がやってきますように」という意味だと教えてくれました。

次はかのんちゃん。

「花音」と書いて、「綺麗な音が聞こえてきそうな名前だから」だと教えてくれました。

最後にはこちゃん。

「葉子」と書きましたが、どんな意味なのかわかりません。

そこへ陽太くんがやってきて、「葉っぱの子!」とからかいました。

言い返しても、陽太くんはやめません。

とうとう、はこちゃんは泣きながら帰ってしまいました。

帰り道、はこちゃんは大好きな公園に駆け込みました。

草むらで泣いていると、どこからか慰める声が聞こえます。

見ると、足元に咲いているスミレの花でした。

そして、はこちゃんのために歌を歌ってくれました。

その歌を聞き、元気になったはこちゃんは家に帰ると、お母さんに聞きました。

自分の名前がどうして「葉子」なのかと。

一体「葉子」にはどんな意味が込められているのでしょうか。

『はこちゃん』の素敵なところ

  • 自分の名前には願いが込められていることに気付く
  • 自分の名前の意味を知りたくなる
  • 大切な名前をからかわれる悲しさも感じる

ずっとひらがなで触れ合ってきた自分の名前。

この絵本を見ると、その名前には漢字があることや、あえて漢字をつけない名前があることに気付きます。

すると、自分の名前がまったく新しいもののようにみえてきます。

「ぼくの名前はどんな漢字?」

「どうやって書くの?」

それと当時に、そこには意味や願いが込められていることにも気付きます。

そんな風に、より自分の名前に興味を持ち、深く知るきっかけになるのです。

色々予想もするでしょう。

「こんな意味じゃないかな?」

「この漢字はどんな意味なんだ?」

色々考えた結果、たどり着くのは、はこちゃんと同じく家族に聞くこと。

そこではきっと、自分の名前を深く知るだけでなく、自分への愛情も知るきっかけになるでしょう。

そして、きっとこれまでよりも名前に愛着をもてるようになるでしょう。

そのきっかけをくれるところが、この絵本のとても素敵なところだと思います。

また、大切につけられた名前だからこそ、からかわれると悲しいことも、この絵本では描かれます。

でも、名前はからかわれやすいポイントなのも事実です。

きっとこの絵本は、からかってしまった子には、相手の気持ちを考える機会に。

からかわれた子には、からかわれても、自分の名前を好きでいられる強さを持つきっかけになってくれるのではないのでしょうか。

当たり前に慣れ親しんだ名前には、強い願いと愛情が込められているのを知ることが出来る。

自分にとっても相手にとっても、名前が大切なものだと感じることが出来る絵本です。

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