文:小野寺悦子 絵:きくちちき 出版:福音館書店
恥ずかしがり屋で、もじもじしてしまう子。
こぶくんは、そんな子たちに寄り添ってくれます。
そして、勇気の出し方も伝えてくれるのです。
あらすじ
子ブタのこぶくんはとっても恥ずかしがり屋です。
そんなこぶくんが、アイス屋さんにアイスを買いに来ました。
でも、アイス屋に行くと恥ずかしくなって、声が出なくなりもじもじ。
アイス屋さんが声をかけてくれますが、やっぱりもじもじ。
すると、サイ奥さんが先にアイスを買いました。
さらにワニ兄さんも買っていき、他のお客さんも次から次へとアイスを買っていきました。
これでは売り切れてしまいます。
それでももじもじしているこぶくんの耳に、
「いちご味のくださーい」
という、小さな声が聞こえてきました。
よく見ると、ありのありいちゃんが、声を張り上げていたのです。
でも、アイス屋さんには聞こえていません。
こぶくんに気付いたありいちゃんは、「全然気が付いてもらえない」と話すと、泣き出してしまいました。
それを聞いたこぶくんは・・・。
『もじもじこぶくん』の素敵なところ
- 恥ずかしがり屋の気持ちを代弁してくれるこぶくん
- 自分も勇気を出してみようと励まされる
- とてもポジティブなこぶくん
こぶくんはとても恥ずかしがり屋です。
アイス屋さんが話しかけてくれても、中々言葉が出てきません。
そのもじもじする姿は、自分の姿と重なります。
いつももじもじしてしまう子。
たまにもじもじしてしまう子。
色々な子がいますが、どの子も、
「私も発表会だともじもじしちゃう」
「新しいところ行くともじもじしちゃう」
など、自分がもじもじしてしまう場面を思い出し、こぶくんの姿を見守っていました。
そんなこぶくんが勇気を振り絞ります。
その姿は、見ているみんなにも勇気をくれます。
堂々としたこぶくん。
みんなが嬉しい結果。
こぶくんを通して、自分も勇気を出したような誇らしい気持ちが湧いてきます。
こぶくんの姿を見たら、他の子が困っている場面で、勇気が湧いてくるかもしれません。
さて、この物語の最後の場面。
そこでのこぶくんの一言がとても印象的でした。
どんどん順番を抜かされたこぶくん。
こぶくんがアイスを買った時に言った一言が、とてもポジティブだったのです。
恥ずかしがり屋だけれど、悲観的にならない明るさが、こぶくんの大きな魅力なのだなと思いました。
だからこそ、お話自体がとてもポジティブで、明るいものになっているのだろうなと感じます。
恥ずかしがり屋なこぶくんが頑張ることを通して、子どもたちに勇気と優しさを伝えてくれる。
きっと恥ずかしがり屋の子の、背中をそっと押してくれる絵本です。
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