パラパラ山のおばけ(4歳~)

絵本

作・絵:ライマー 訳:中由美子 出版:岩崎書店

ある日、山の中でオバケの目撃情報が!

麓の村では大騒ぎです。

事故もたくさん起こるように。

山には、どんな恐ろしいオバケが住み着いているのでしょう・・・。

あらすじ

ある日、白ブタのルルが、山から転がり落ちてきた。

そして、「オバケ・・・」と、一言いうと気を失ってしまった。

ルルはだいぶ経ってから、病院で目を覚ました。

やってきた村長さんが何があったのかを聞くと、ルルは話し始めた。

夜の山で道に迷っていたら、明かりが見えたので近づいた。

すると、人間10人分くらいの大きさで、真っ黒でトゲだらけ、緑の目をして鋭い爪を振り回すオバケに、追いかけられたのだと。

それを聞いて、ビーだま村の人たちは、オバケが降りてきた時のため、準備をした。

でも、ちょっとした事故がしょっちゅう起こった。

村長さんは「オバケが私たちを呪っている」と言った。

ビーだま村中がてんやわんやになっていたある日、村にお客さんがやってきた。

このお客さんの登場で、オバケ事件は急展開を迎えることに・・・。

『パラパラ山のおばけ』の素敵なところ

  • 恐ろしいオバケの姿
  • よく見ると自分のせいな呪い
  • スッキリわかりやすい解決の場面

この絵本のとても素敵なところは、恐ろしいオバケの姿です。

ルルの話すオバケは、まさに怪物。

追いかけてくる姿は、獣のよう。

子どもたちも、「うわ!こわ!」「でっけぇー!」「食べられちゃうよ!」と悲鳴をあげます。

この、とても怖いオバケの姿がとっても大事。

オバケの姿が恐ろしいからこそ、後の展開が盛り上がるのです。

恐ろしいオバケが来ては大変と、村人たちは必死で準備をします。

落とし穴を掘ったり、壁を作ったり、弓の練習をしたり、見張りを立てたり。

見開き1ページ、村人たちの準備の様子が描かれます。

面白いのは次の1ページで、それが失敗する様子が描かれるところ。

村長さんはオバケの呪いだと言います。

でも、よく見ると、金づちで指を叩いてしまったり、鳥の巣の上で見張りをしていて突かれたり・・・と、「自業自得なのでは」と思うことばかり。

これが実は最後の場面への伏線になっているのです。

「本当にオバケのせいなのかな?」と、疑問が湧いてきたところに現れるお客さん。

このお客さんが事件解決のキーパーソンでした。

その事件の真相が、とてもわかりやすく描かれているのも、この絵本の素敵なところ。

白ブタのルルが話したオバケ事件の時系列に沿って、オバケ目線で話してくれます。

これによって、「あー、あれはそういうことだったのか」と納得。

わかりやすく解明されるからこそのスッキリ感があるのです。

恐ろしいオバケの姿と、正体のギャップが面白い。

村人全員による、壮大な勘違いの物語です。

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