作:デイヴィッド・ウィーズナー 訳:江國香織 出版:BL出版
誰もがよく知る童話「3びきのこぶた」
でも、オオカミに吹き飛ばされた時に絵本の外まで吹き飛ばされてしまったら。
そこで、絵本を自由に行き来できる力を手に入れたら。
その結末はどんなものになるのでしょうか。
あらすじ
昔々あるところに広い世間に出てみようとした3匹の子ブタがいました。
1匹目の子ブタは藁の家を建てました。
そこにオオカミがやってきて家を吹き飛ばしてしまいました。
その時、家と一緒に子ブタまで吹き飛ばしてしまい、なんと子ブタはお話の外へ。
オオカミは木の家を建てている2匹目の子ブタの家へ行きました。
すると、ページの外からやってきた1匹目の子ブタが2匹目の子ブタをお話の外へ逃がしました。
さらに3匹目の子ブタも逃がし、3匹は自由の身に。
絵本のページを紙飛行機にして乗ったり、他の絵本に入ってみたり。
そうこうしているうちに、ヴァイオリン弾きの猫とドラゴンが仲間に加わりました。
そろそろ「3びきのこぶた」の世界に戻ることにした5匹。
一体どんな結末になるのでしょうか。
『3びきのぶたたち』の素敵なところ
- まさかの展開の数々
- 凄まじい表現力
- ページのコマ割りを巧みに使った演出
絵本を読み始めるとみんな「なんだ3匹のこぶたか」と思うでしょう。
しかし、徐々に「あれ?」と違和感に気付き始めます。
そして気付いたらコマの外へ。
その頃には子どもたちの心もコマの外へ引っ張り出されてしまっています。
オオカミのページを折りたたんで紙飛行機にしてしまったり、他の絵本へ入ったり、そこからキャラクターを連れ出したり。
もう何が起こるかわかりません。
元のお話へ戻る時には予測不能でみんなドキドキワクワク。
それを可能にしているのは凄まじい絵の表現力でしょう。
コマの内外の移動や、絵本に入るとその絵本のタッチに変化する子ブタたち、子ブタたちの影響によるページの中の変化など、その画力と発想で違和感なく表現しきっています。
コマの外の変化がコマの中の物語に影響し、コマ内のキャラクターの反応が変わるなど、コマ割りの特性を巧みに使った表現と相まって、この絵本にしか出せないおもしろさを作り出しています。
色々と掟破りの絵本です。
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