やまがみさまのきょだいべんとう(4歳~)

絵本

作:大串ゆうじ 出版社:偕成社

みんな大好きなお弁当。

でも、山神様のお弁当はスケールが違います。

作るのも、村中総出の大仕事。

その工程も、出来上がりも楽しい絵本です。

あらすじ

ぼくの村では、20年に一度、「やまがみさまだいまんぷくまつり」が開催されます。

山の向こうから来る山神様に、巨大なお弁当を作るお祭りです。

山神様がやってくるのは、春の桜が満開になった日。

お弁当には山神様に合わせて、マンモスのお肉や、卵500個、キリンの首くらいのメガちくわなど、なんでも大きいものが入ります。

ぼくは揚げ物にパン粉をつける係です。

とうとう桜が満開になり、最後の仕上げを急ぎます。

箸と芋まんじゅうの神輿が村を一周して、最後に梅干しとゴマを乗せたら・・・。

巨大弁当の完成です。

その時、大きな足音とともに、山神様がやってきました。

果たして、山神様は満足してくれるのでしょうか。

『やまがみさまのきょだいべんとう』の素敵なところ

  • ネタ満載な村の様子
  • 全てが巨大なお弁当作り
  • サステナブル過ぎる祭りの裏目的

この絵本でまず目を引くのが、ページいっぱいに描き込まれた、村の様子でしょう。

所狭しと人がいる様子を、俯瞰で描いている様はまるで「ウォーリーを探せ」のようです。

しかも、その様子はネタも所狭しと詰まっています。

巨大弁当箱の中で、鏡餅を置いて成功を祈願している。

その隣で開かれるゲートボール。

巨大フライヤーに油を入れようとしているトラック。

巨大まな板をモップで掃除する忍者。

などなど、それぞれの場所で、誰かが何かしらをしているのです。

さらにそれらが何をしようとしているのかがイメージ出来るのが面白いところ。

勝手に頭の中でストーリーや、お弁当作りの様子が補完されていくのです。

そして、いよいよお弁当作りが始まります。

そのスケールの大きなこと。

包丁はクレーン車のような専用メカで動かします。

米は大きいので、一粒ずつ子どもが運んできます。

フライには火炎放射器のような機械でパン粉を振りかけ、ダンプカーのようなフライヤーで揚げるのです。

全てのスケールが大きく、まるで工事現場のよう。

これには子どもたちの目も釘付け。

見るところが多すぎて、しゃべる暇もありません。

しかし、この祭りには驚くべき裏目的がありました。

最後に明かされる、村が存続するために重要な目的です。

そのなんとサステナブルなこと。

山神様を敬い、自然とともに生きるこの村を象徴するような、素敵な締めくくりになっているのです。

スケールの大きすぎる弁当作りを思い切り楽しみつつも、自然と文明の調和についても考えさせられる巨大で、奥が深い絵本です。

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