文・編:西本鶏介 絵:高部晴市 出版:すずき出版
意味が分かると面白いことわざ。
それをわかりやすい絵と説明、例文で伝えてくれる絵本です。
読んだらすぐに、使ってみたくなるでしょう。
あらすじ
・鬼に金棒
鬼はすごい力持ち。
そんな鬼が金棒を持ったらどうなるでしょう。
ますます強くなって、誰も勝てません。
安心なほどに強くなることを、鬼に金棒と言います。
・烏の行水
行水と言うのは、大きな桶にお湯や水を入れて、体を洗うことです。
烏は行水をしてもすぐに飛び出します。
だからお風呂に入る時間の短いのを、烏の行水と言います。
その他にも・・・。
・狐の嫁入り
・子供は風の子
・猿も木から落ちる
・親しき中にも礼儀あり
・雀の涙
・月とすっぽん
・どんぐりの背比べ
・泣きっ面にはち
・猫に鰹節
・袋のねずみ
・目に入れても痛くない
・笑う門には福来る
が、載っています。
『ことわざのえほん』の素敵なところ
- 子どもでもわかりやすい説明文
- 絵でイメージが湧く
- 例文で、使い方がわかる
この絵本の素敵なところは、ことわざのちょっと不思議な面白さが、詰っているところでしょう。
言葉自体の面白さ。
その言葉が、別の意図を含んでいる面白さ。
など、知的な面白さに満ちています。
でも、それを感じ取るには、ことわざの意味が分からないと始まりません。
この絵本では、その意味がとても丁寧に説明されているのです。
行水など、難しい言葉は、子どもにもわかる平易な言葉に言い換えられるなど、無理なくイメージしやすい言葉や文章で説明されているのです。
もちろん文章だけではありません。
絵も合わせて使われています。
この絵が本当にわかりやすい。
烏の行水なら、「これが行水か!」とわかるほど、行水しています。
鬼に金棒なら、見た瞬間「強そう!」と思うことでしょう。
直感的にことわざの文章そのもののイメージが湧くので、ことわざの意味とつなぎ合わせる時の負担が大きく緩和されるのだと思います。
しかし、これだけでは終わらないのが、この絵本の魅力です。
実際に使う時の例文まで載っているのです。
烏の行水なら、
ゆうくんが十も数えないうちに、お風呂を出ようとしたらママが言いました。
「だめ、だめ。もっとちゃんとお湯につからなくちゃ。それじゃ、烏の行水ですよ」
というように、現実でありそうな場面を例文にしてあるので、実用性抜群です。
さらに、固有名詞が使われていることで、より現実的なイメージが湧きやすいのもポイントです。
自分が言われているように感じ、その場面が想像できるのです。
そして、「自分も使ってみよう」へと繋がります。
少し難しいけど面白いことわざ。
それを文章、絵、例文の合わせ技で、びっくりするほどわかりやすく伝えてくれる。
すぐに自分も、ことわざを使いたくなる絵本です。
コメント