作:長新太 出版:小学館
色々なものに変身できるへんてこライオン。
でも、変身するものは予想外のものばかり。
自由過ぎる発想力が、大爆発する絵本です。
あらすじ
男の子のしんくんがテクテクやってくると、ライオンがいました。
ライオンは髭を引っ張っています。
ライオンは髭を整えると「いってきまーす」と出かけていきました。
そうしたら・・・。
ライオンが、しんくんのお父さんになりました。
しんくんが「お父さん行ってらっしゃーい」と言うと、ライオン父さんが「早くしないと会社に遅れる」と言って、ドタドタとかけていきました。
女の子のゆうちゃんが、ポコポコ歩いていたら、ライオンがいました。
ライオンはお尻をあげて、ブツブツ言っています。
ゆうちゃんが「なーに?」と聞くと、「もっとお尻が高くならなくてはいかん」と言いました。
ライオンはどんどんお尻を高くしていきます。
そうしたら・・・。
とても高いビルになりました。
ゆうちゃんはビルライオンの中に入って、エレベーターで上の方へ行きました。
へんてこライオンが次に変身するものは・・・?
『どうしたの?へんてこライオン』の素敵なところ
- 予想の斜め上過ぎる変身
- 自然過ぎるライオンとの会話
- ゆる~く肩の力が抜ける空気感
へんてこライオンは、色々なものに変身します。
でも、普通の変身ではありません。
ライオンからは、全く関連性のないものに普通に変身するのです。
お父さん、ビル、ハチ・・・。
だけど、何の脈絡がないわけもありません。
お父さんに変身する前は、出勤前の身だしなみを整えているし、
ビルになる前は、お尻を高く上げ、それっぽい形になっています。
ハチになる前は、どんどん小さくなりながら「プンプン」言っていたりします。
予想はつかないけれど、変身してみると「あ~そういうことか」と妙な納得感。
この不思議な感覚が、この絵本の魅力なのだと思います。
また、しんくんとゆうちゃんの、ライオンに対する自然過ぎる反応も、この絵本の素敵なところです。
しんくんとゆうちゃんは、へんてこなことをしているライオンに、読者の感じる素朴な疑問をぶつけてくれます。
「なにしてるの?」
「お尻を高くしてどうするの?」
小さくなっているライオンを見て「子どものライオンだ」
など、見ていたら普通に思うことを、普通にぶつけてくれるのです。
それに対して、普通に答えるライオン。
そして、変身した後は、
「お父さん行ってらっしゃーい」と、ライオン父さんを送り出すしんくん。
ビルの中から、笑顔で手を振るゆうちゃん。
など、自然に受け入れる二人。
この自然なやり取りを見ていると、予想外過ぎる変身も、当たり前のように感じられるから不思議です。
これらが重なり合って、この絵本を読んでいると、すーっと肩の力が抜けていきます。
ゆる~く、楽しい雰囲気が辺りを包み込んでくれるのです。
細かいことを気にせずに、頭を空っぽにして楽しみたい時に、こんなにもピッタリな絵本はないでしょう。
子どもたちも、
「えー!?なんでー!?」
「おもしろすぎるー!」
「へんなのー!」
と、細かいことは気にせず大笑い。
楽しさしかありませんでした。
へんてこなライオンの、へんてこな変身に、みんなが笑顔になれる。
ゆる~く、楽しく、発想力が無限に広がるナンセンス絵本です。
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