作:久住卓也 出版:ポプラ社
ナスのトレードマークと言えば、頭にちょこんと乗ったあの帽子。
ある日、その帽子が風に飛ばされてしまいました。
代わりに、色々な野菜の帽子を被ってみますが・・・。
あらすじ
今日もお気に入りの帽子を被り、遊んでいたなすのぼうや。
ところが、風で帽子が飛ばされてしまいました。
あちこち探しましたが、帽子は見つかりません。
その姿を見て、トマトお姉さんが声をかけてくれました。
事情を話し、二人で探しましたが見つかりません。
そこで、トマトお姉さんは自分の帽子を貸してくれました。
でも、なすのぼうやは、「やっぱり自分の帽子がいいな」と思いました。
そこへキュウリのお兄さんが通りかかりました。
トマトの帽子を見ると、「かわいいけど、ちょっと物足りない」と言って、キュウリのお兄さんのクルクル帽子をかぶせてくれました。
でも、なすのぼうやは「やっぱり自分の帽子がいいな」と思いました。
すると、上から見ていたトウモロコシの兄弟が降りてきて、もしゃもしゃ帽子を貸してくれました。
さらにそこへマツタケ親分が通りかかり、自慢の帽子をなすのぼうやにかぶせてくれました。
でも、「やっぱり自分の帽子がいい」と、なすのぼうやはついに泣き出してしまいました。
しかし、その泣き声を聞いていたのは、昼寝をしていたアオダイショウ。
よく見ると、アオダイショウの頭に、なすのぼうやの帽子が乗っています。
なすのぼうやはアオダイショウに、自分の帽子だと伝えましたが、返してくれません。
それどころか、マツタケ親分の帽子まで奪おうとしてきました。
なすのぼうやは取られないよう、必死に帽子を掴みます。
と、その時・・・。
『なすのぼうや』の素敵なところ
- 面白い形の野菜たちの帽子
- まさかの解決法
- やっぱり自分の帽子一番しっくりくる
この絵本の面白いところは、なすのぼうやが色々な野菜の帽子を被ってみるところでしょう。
それぞれの野菜の、特徴的なへたの部分や、傘の部分。
それを成すが被ってみる面白さ。
似合わなくはないけれど、なんだか違和感があります。
子どもたちも、帽子を被るたび大笑い。
「なんか変!」
「あんまり似合わないな~」
「けっこうかっこいい」
など、色々な声が出るのと同時に、
「イチゴなら似合うんじゃない?」
「ミカンはどうかな?」
と、他の帽子にも想像を広げていました。
絵本の中だけでなく、色々な野菜や果物の見た目にも、興味が広がっているようです。
さて、色々な帽子を被ってみても、しっくりこないなすのぼうや。
やっぱり自分の帽子がいいのです。
しかし、持っていたのは大きなアオダイショウ。
なすのぼうやでは、とても取り返すことが出来ません。
そんな時、助けてくれたのが意外なものでした。
予想外の展開に、子どもたちもびっくり。
真剣に成り行きを見守っていました。
そして、戻ってきた帽子。
これを被った時のスッキリ感。
「これだ!」という、パズルのピースがはまった時のような感覚。
これが、この絵本の一番素敵なところなのかもしれません。
子どもたちも、
「やっぱりこれが一番似合うよね~」
と、納得の様子。
「なすってやっぱりこれだね!」
という空気感が素敵です。
野菜の帽子を取りかえる面白さを通して、野菜への興味が広がる。
そして、元の帽子が一番しっくりくることも再認識させられる絵本です。
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