作:恩田陸 絵:樋口佳絵 編:東雅夫 出版:岩崎書店
普段、特に気にすることなく見ている鏡。
そこに映るのは本当に自分自身の姿なのでしょうか。
もしかしたらただ真似ているだけで、別の意思を持った存在なのかもしれません。
あらすじ
色々なところにある鏡。
スプーンに映る顔など、意外なところにもある鏡。
右手を出せば左手を出し、左手を出せば右手を出す。
でも、時々間違える。
もし鏡の中に誰かがいたら、その誰かもあなたを見つけているかもしれない。
『かがみのなか』の素敵なところ
- 不安を搔き立てる不気味な絵
- 日常に起こりそうな怖さ
- 語り過ぎない怖さ
この絵本を見てまず感じるのが独特のタッチで描かれる登場人物の不気味さでしょう。
まだ怖くない場面でも底知れぬ不気味さを感じます。
そして、日常的に目にし、かつ避けられない鏡という題材。
しかも、恐れるべきものがそこに映る自分とその世界というのが背筋をぞくっとさせます。
おばけが出てくるわけでもなく、超常現象が起こるわけでもない。
ただ、いつも移っている自分が間違えてしまうだけ。
読んでいる時にはそこまで怖くないのですが、しばらく経って鏡を前にしたときに思い出しドキドキしてしまう怖さです。
きっと、語り過ぎず、過不足のない想像の余地を残した文章もその効果に一役買っているのでしょう。
当たり前の日常の隙間を覗く絵本です。
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