そらからおちてきてん(5歳~)

絵本

作:ジョン・クラッセン 訳:長谷川義史 出版:クレヨンハウス

おしゃべりを楽しむ3匹の動物。

上空には落ちてくる大岩。

気付いているのは、読者だけ・・・。

さあ、どうなる!?

あらすじ

空から落ちてくる大岩。

地面には一輪の花が咲いている。

1,いわ

歩いてきたカメが、咲いている花を気に入った。

気に入ったので、そこに立っていることにした。

岩は人知れず落下中・・・。

そこへアルマジロが来て、カメに何をしているのか聞いた。

そこで、アルマジロもカメと一緒に立つことにした。

でも、アルマジロはなんだか嫌な感じがすると思った。

アルマジロは、向こうにある若木の方へも行ってみることにした。

カメはアルマジロに様子を聞いてみるが、遠くて聞こえない。

アルマジロは一旦、カメの所へ戻ることにした。

岩はさっきよりもさらに落ちてきている・・・。

アルマジロはカメの所に戻ると、さっきよりも嫌な感じがひどくなっていた。

なので、若木の方に戻ることにした。

カメも誘ったが、花の所が好きだから行かないと言う。

アルマジロが若木の所に立っていると、ヘビがやってきた。

ヘビもアルマジロと一緒に立っていると、カメが「こっちのほうが言い」と誘ってきた。

でも、遠くて聞こえないので、カメは二人の方へ歩いていった。

若木の所へ着くと、自分の所の方いいと言い張るカメ。

その瞬間、花の上に大きな岩が落ちてきた・・・。

次の話は、カメが岩の上に登ったことから始まります。

2,おちる

3,みらい

4,しずむ

5,まんいん

へと・・・。

『そらからおちてきてん』の素敵なところ

  • 「気付いてない」の面白さ
  • ちょっぴり不思議でちょっぴり不気味な魅力
  • 時系列が繋がっていく5話の物語

この絵本の面白いところは「気付いている」人と「気付いてない」人の心境のギャップだと思います。

気付いている人は、「ヤバイヤバイ!」「危ないって!」とドキドキ。

気付いていない人は、のんびりとした会話を楽しんでいる。

このギャップが本当に面白い。

特に、岩が落ちてくる場面は、もう気が気じゃありません。

どっちの場所がいいかなんて言い合っていますが、その選択によって命の危険まであるのですから。

そんな大小の「気付いてない」が、この絵本には各話に取り入れられています。

気付いてなくても特に問題ないもの。

1人だけ気付いてないもの。

など、シチュエーションは様々で、それぞれに別々の面白さがあるのです。

そんなこの絵本ですが、話が進んでいくと、不思議なことが起こります。

いるはずのないものが、現れてしまうのです。

子どもたちも「なんでここにいるの・・・?」とびっくり。

時系列的に不思議な状況に、不気味さを感じます。

都市伝説を聞いた時のような、背中の毛が逆立つ感覚に似ているかもしれません。

ドキドキの絶体絶命。

それを解決するのはまさかのものなのも、とても面白いところです。

さて、この絵本は5つの表題のついた短編から出来ています。

それぞれにオチがついていて、しっかりまとまっています。

でも、独立している訳はなく、前の話の内容を受け取って物語が進んでいくのです。

この、時系列が繋がった短編という構成が新鮮で面白く、区切りをつけてくれるので、子どもも理解しやすいのが素敵なところです。

これによって、少し入り組んだ不思議な世界へ、子どもがスムーズに入ってこれるようになっています。

よく見ると、朝から夜へと一話毎に時間が変化しているのがわかるのも面白いところ。

一日の出来事だったことがわかります。

一つ一つのお話を楽しみながら、それぞれの繋がりを感じるという、物語ならではの面白い体験を出来るのが、この絵本のとても素敵なところだと思います。

「気付いていない」ドキドキが止まらない。

一つ一つのお話が面白い、でも、繋げるともっと面白いオムニバス絵本です。

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