作:村上康成 出版:講談社
大自然の中で、過ごすキャンプ。
そこでの時間は、自分も自然の一部だと実感させてくれるもの。
この絵本で、1週間の長くて短いキャンプを、体験してみましょう。
あらすじ
お父さん、お母さん、娘のミナの3人はキャンプに来ていました。
ある夜。
テントの中で寝ていたミナは、枝の折れる音で目を覚ましました。
すぐにお父さんを起こしたが、どうやらシカだったよう。
湖のほとりにキャンプに来て、1週間が経ちます。
3人は目が覚めて、この一週間のことを話し始めました。
月曜日。
ここへ来た日。
水のきれいさや、大きなマスに息を呑みました。
ボートで湖へ出て、釣りをします。
火曜日。
ガンの家族がテントの側にやってきました。
ミナはテーブルの上に登ってしまいましたが、お父さんが「もう少しここにいていいですか?」と聞き、しばらく一緒に日向ぼっこをしました。
水曜日。
ちょっと遠くまで出かけると、小さな湖が一つだけあり、風も音もありませんでした。
静かで、時が止まったようでした。
木曜日。
ハンモックでウトウト。
金曜日。
キイチゴ摘みに出かけます。
自然の美味しさと、チクンとしたトゲを味わいます。
土曜日。
男の子の友だちが出来ました。
男の子は、イトトンボの幼虫が羽化する所を、見せてくれました。
そして、今日の日曜日。
お父さんがとうとうマスを釣りました。
45センチのいいマスでしたが、ふと見ると、隣のおじさんが80センチのマスを釣り上げていました。
その夜、シュラフに仰向けになり、話しました。
動物や色々な生き物が、同じ空気を吸って、今一緒だということを。
そして、電気を消し・・・。
『星空キャンプ』の素敵なところ
- キャンプの一週間を体験できる
- 自然の中で感じる様々な感覚を味わえる
- キャンプを通して、自分も自然の一部だと感じられる
この絵本では、キャンプをしている一週間を、一日一日ゆっくりと味わうことが出来ます。
釣りをして、動物と触れ合い、探検をして、休憩する。
そこでの暮らしを、この家族と一緒に過ごすことが出来るのです。
言葉が多すぎないのも素敵なところで、自然の静けさや、環境音が自然と聞こえてくるよう。
ページを見ているだけで、色々なことが想像出来てしまいます。
この一週間を通して、自然の中ならではの感覚をたくさん味わえるのも、素敵なところです。
息を呑むほどの、水の綺麗さ。
顔の目の前まで来るガンの群れ。
町では感じることのない、時が止まったような無音。
など、自然の中でしか味わえないものばかり。
一度でも味わったことのある人なら、「あー、わかる」とその状況がすぐに頭に浮かび、追体験できるでしょう。
味わったことのない人は、「キャンプに行ってみたい」と思わせてくれる魅力があります。
そんなキャンプを通して、この絵本では人間も自然の一部だということに、気付かせてくれます。
一週間の体験。
その中での家族の言葉。
色々なことが、「みんなこの同じ星の上で生きている」ということに、気付かせてくれるのです。
特に最後の場面でのミナの言葉が素敵で、子どもが地球を感じる瞬間が描かれています。
大自然の一部になるキャンプ。
その感覚をありのまま、自然のままに感じさせてくれる絵本です。
コメント