文:ダイアナ・アストン 絵:シルビア・ロング 訳:千葉茂樹 出版:ほるぷ出版
色も形も模様も様々な卵。
そんな卵の、素敵な秘密が明かされます。
さあ、賢くおしゃれで不思議な、命の世界へ旅立ちましょう!
あらすじ
卵はおとなしい。
親の側や、穴の中で安心だから。
卵は色とりどりで、形も色々。
ウミガメの丸い卵は、200個も産まれるので、隙間なくきっちり積み重なるように。
海鳥の先のとがった卵は、転がっても同じ所でクルクル回り、岩棚から落ちないように。
それぞれ理由がある。
卵は賢い。
外敵から身を守るため、自然の風景に擬態する。
卵は大きさも色々で模様もおしゃれ。
手触りも、固いもの、柔らかいもの、ねばねばしたものなど様々。
卵は命を育む。
卵には卵殻、卵黄、卵白など命を育むための仕掛けが詰っている。
卵はおとなしい。
そして、いきなり・・・。
『たまごのはなし』の素敵なところ
- 本物そっくりの、見ているだけでうっとりするイラスト
- 語りかけるようなわかりやすい文章
- 所狭しと卵が並んだページの仕掛け
この絵本は、表紙からもわかるように、リアルでカラフルで綺麗です。
まるで美術作品を見ているような美しさ。
それが全て、自然界に存在するものだというのだから驚きです。
でも、リアルなだけでなく、タッチがどこか柔らかく、温かみがあるのが素敵なところ。
それが人を惹きつけ、うっとりさせてくれるのでしょう。
ちょうど、図鑑とアートの中間のような雰囲気があるのです。
そして、科学的な絵本には欠かせない説明文ですが、これがびっくりするくらい分かりやすいのも、この絵本の素敵なところです。
専門的な用語なく、普段の会話で使う言葉だけで、少し難しいことも説明してくれます。
特に、卵の中身についてがわかりやすく、
「卵殻は家、卵黄は食べ物で、卵白はゆりかごだ」
というように、とてもわかりやすく、イメージしやすい例えが使われています。
こうして、子どもにも卵の不思議や面白さが、伝わるようになっているのです。
さて、この絵本には最初に見開きいっぱい、所狭しとたくさんの卵が描かれたページがあります。
最初に見た時には「いっぱいある!」「すごい!」と、ただ驚くばかりのページ。
しかし、このページにはある仕掛けがあったのです。
それは、物語の終わりに、全ての卵が孵ること。
あのたくさんあった卵たちが、ひとつ残らず、孵化した後の生き物の姿になっているのです。
これを見比べるのが面白く、
「こんな風になるんだ!?」
「あんなにちっちゃかったのに」
「ペンギンって、こんな卵なんだね」
など、色々な発見があるのです。
もちろん、発見など抜きにしても、自然界のカラフルさが詰ったこのページは、見ているだけでも楽しい気持ちになってきます。
リアルさの中にも、温かさのあるイラストと、わかりやすい説明で、卵の不思議や秘密がわかる。
しっかりと読み込んでも、ただ眺めているだけでも面白い科学絵本です。
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