ぼくはモンスターのとこやさん(4歳~)

絵本

作・絵:マシュー・マケリゴット 訳:野口絵美 出版:徳間書店

人間の髪を切る床屋さん。

でも、夜になると違うお客さんがやってくる。

さあ、開店の時間です。

あらすじ

ぼくの父さんは床屋さん。

でも、実はぼくも床屋さんなんだ。

満月の夜。

ぼくをコウモリの化けたドラキュラが迎えに来た。

ぼくはコウモリと一緒に家を出て、床屋さんへ向かう。

裏口から入り、ドラキュラと一緒に開店準備。

12時半を回ると、お得意さんがぼちぼち現れ、1時には満員。

ミイラ男や、メデューサなど、みんなモンスターだ。

毛が一本しかなくて、簡単なお客さん。

毛がたくさんで硬い、大変なお客さん。

いつも決まった髪のお客さんから、髪形を変えるのが好きなお客さんまで色々。

仕事がはかどっていたその時、表のドアをノックする音がした。

おかしい。

夜の床屋さんは、みんな裏口から入ってくるのに。

開けてみると、人間のお客さんだった。

どうしよう・・・。

『ぼくはモンスターのとこやさん』の素敵なところ

  • 個性豊かなお客さんと癖の強すぎる髪
  • 床屋さんが子ども
  • みんなで開く床屋さん

この絵本の見どころは、なんと言っても、モンスターの髪を切るところでしょう。

普段は怖いモンスターが、笑いあったり、新聞を読んだり、子どもをあやしたりしながら、お店に集っています。

そして、席におとなしく座り、髪を切ってもらっているのです。

モンスターも多種多様。

ドラキュラから、蜘蛛男、ネッシーまで、色々なモンスターが集まっています。

この光景だけでも面白過ぎて、子どもたちのテンションが上がります。

「ミイラ男だ!」

「フランケンシュタインもいる!」

と、大盛り上がり。

モンスターなので、もちろん髪質も色々。

ごわごわで硬い毛。

髪の毛が蛇。

髪の毛どころか、皮膚すらない。

など、癖が強すぎます。

でも、そこはプロ。

髪の毛が蛇のメデューサには、自分が石にならないよう、目隠しをしながら切るなど、モンスターの個性に合わせた対応をしてくれるのです。

この床屋さんが、子どもなのも面白いところです。

子どもであることで、見ている子の没入感があがります。

自分と絵本の中の「ぼく」を重ね合わせ、自分も床屋さんになった気分にさせてくれるのです。

また、子どもだからこその、夜、家を抜け出すドキドキ感。

背が低い分、脚立を使ったり、背伸びをして頑張る姿への、共感も生まれるのでしょう。

これも主人公が子どもならではの、素敵なところだと思います。

しかし、子ども一人でお店の準備をするのは大変です。

なので、このお店では、モンスターも一緒に手伝ってくれます。

開店準備は、ドラキュラが手伝ってくれ、内装をモンスター用に変えてくれたりしています。

片付けの時も、毛の長いモンスターがほうきになって、床をはいてくれたり、お店を人間用に戻したりと、手伝いをしてくれます。

こうして、みんなで協力しているからこそ、開くことが出来ているのです。

そんな自然な優しさや、思いやりもこの絵本のとても素敵なところです。

他にも子どもたちが、

「あ!それ使っちゃダメ!」

「これ変わってるってことなのか!」

と、驚いたり発見したりするところが、たくさんある絵本なので、ぜひじっくりと読んでみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました