作・絵:藤原ヒロコ 出版:ひさかたチャイルド
ある日現れた不思議な猫。
なんと、その猫が脱いだ毛皮を着ると、猫に変身できるのです。
早速、猫に変身し、街へと繰り出していきました。
あらすじ
女の子きみちゃんが、縁側でアイスを食べていると、白ネコがやってきました。
そのネコは、不思議ネコだと名乗りました。
不思議ネコは、きみちゃんのアイスと、自分の持っている魚を交換してもらおうとしましたが、きみちゃんは断りました。
すると、不思議ネコは自分の毛皮を脱ぎ始め、きみちゃんへと渡しました。
その毛皮は不思議な毛皮。
着るとネコになれると言うのです。
きみちゃんは早速毛皮を着てみます。
不思議ネコは代わりにきみちゃんの服を着て、アイスを貰いました。
そして、池に映った自分の姿を見てみると・・・。
きみちゃんは白ネコの姿に、不思議ネコはきみちゃんの姿になっていたのです。
不思議ネコが家で留守番をしている間に、きみちゃんは街の探検へと出かけることに。
案内はトラネコがしてくれるみたいです。
細い塀の上や、屋根の上がネコの道。
トラネコについて、楽しく歩いていると・・・。
急に烏がぶつかってきました。
しかし、きみちゃんは空中で二回転して無事着地。
それを見て、トラネコはきみちゃんのことが気に入ったみたい。
いいところに連れていってくれるといいます。
一体どんなところに連れていってくれるのでしょうか。
『きみちゃんとふしぎねこ』の素敵なところ
- 不思議過ぎる不思議ネコ
- 自分もやってみたくなるネコ生活
- ネコの表情や仕草がリアル
この絵本に登場する不思議ネコは、とにかく不思議。
急に現れ、アイスと魚を交換しようとしてきます。
さらには、ネコに変身できる不思議な毛皮まで着ています。
というか、ネコがネコの毛皮を着ている時点でかなり謎。
そんな不思議も謎も、一つも明かされることはありません。
不思議ネコは不思議ネコなのです。
それがこの絵本の面白いところ。
心の底から「不思議過ぎる」と思いつつ、なぜか受け入れてしまう説得力があるのです。
子どもたちも、
「不思議ネコだから不思議なんだよ!」
と、妙に自信満々です。
そんな不思議ネコの毛皮を着ると、あら不思議。
ネコに変身してしまいます。
そして、ネコになったらやってみたいが、この絵本には詰まっています。
塀の上を歩き、家の屋根を歩き、垣根の下をくぐり抜けます。
さらには、高いところから落ちても、ひらりと着地。
塀の上での、しっぽをぶらぶらさせた昼寝は、本当に気持ちよさそう。
しまいには、ネコのケンカまでしてしまいます。
これには、
「いいな~、気持ちよさそう」
「ネコになってみたいな~」
「不思議ネコ来ないかな~」
と、みんな羨ましそうでした。
さて、そんなネコ生活がより魅力的に見えるのは、ネコの表情や仕草、動きがリアルに描かれているからだと思います。
美味しいものを食べた時の表情。
座り方、走り方、くぐり方、昼寝の仕方。
威嚇する時の表情に、逆立つ毛並み。
そのどれもが、街中で目にするネコそのもの。
そのリアルさが、見ている人をネコの世界に入り込ませてくれ、ネコ生活がより魅力的に映るのだと思います。
不思議過ぎるネコとの出会いによって、ネコの世界へと入り込ませてくれる。
ネコになりきって、街の中を歩き回れる不思議な絵本です。
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