きみちゃんとふしぎねこ(3歳~)

絵本

作・絵:藤原ヒロコ 出版:ひさかたチャイルド

ある日現れた不思議な猫。

なんと、その猫が脱いだ毛皮を着ると、猫に変身できるのです。

早速、猫に変身し、街へと繰り出していきました。

あらすじ

女の子きみちゃんが、縁側でアイスを食べていると、白ネコがやってきました。

そのネコは、不思議ネコだと名乗りました。

不思議ネコは、きみちゃんのアイスと、自分の持っている魚を交換してもらおうとしましたが、きみちゃんは断りました。

すると、不思議ネコは自分の毛皮を脱ぎ始め、きみちゃんへと渡しました。

その毛皮は不思議な毛皮。

着るとネコになれると言うのです。

きみちゃんは早速毛皮を着てみます。

不思議ネコは代わりにきみちゃんの服を着て、アイスを貰いました。

そして、池に映った自分の姿を見てみると・・・。

きみちゃんは白ネコの姿に、不思議ネコはきみちゃんの姿になっていたのです。

不思議ネコが家で留守番をしている間に、きみちゃんは街の探検へと出かけることに。

案内はトラネコがしてくれるみたいです。

細い塀の上や、屋根の上がネコの道。

トラネコについて、楽しく歩いていると・・・。

急に烏がぶつかってきました。

しかし、きみちゃんは空中で二回転して無事着地。

それを見て、トラネコはきみちゃんのことが気に入ったみたい。

いいところに連れていってくれるといいます。

一体どんなところに連れていってくれるのでしょうか。

『きみちゃんとふしぎねこ』の素敵なところ

  • 不思議過ぎる不思議ネコ
  • 自分もやってみたくなるネコ生活
  • ネコの表情や仕草がリアル

この絵本に登場する不思議ネコは、とにかく不思議。

急に現れ、アイスと魚を交換しようとしてきます。

さらには、ネコに変身できる不思議な毛皮まで着ています。

というか、ネコがネコの毛皮を着ている時点でかなり謎。

そんな不思議も謎も、一つも明かされることはありません。

不思議ネコは不思議ネコなのです。

それがこの絵本の面白いところ。

心の底から「不思議過ぎる」と思いつつ、なぜか受け入れてしまう説得力があるのです。

子どもたちも、

「不思議ネコだから不思議なんだよ!」

と、妙に自信満々です。

そんな不思議ネコの毛皮を着ると、あら不思議。

ネコに変身してしまいます。

そして、ネコになったらやってみたいが、この絵本には詰まっています。

塀の上を歩き、家の屋根を歩き、垣根の下をくぐり抜けます。

さらには、高いところから落ちても、ひらりと着地。

塀の上での、しっぽをぶらぶらさせた昼寝は、本当に気持ちよさそう。

しまいには、ネコのケンカまでしてしまいます。

これには、

「いいな~、気持ちよさそう」

「ネコになってみたいな~」

「不思議ネコ来ないかな~」

と、みんな羨ましそうでした。

さて、そんなネコ生活がより魅力的に見えるのは、ネコの表情や仕草、動きがリアルに描かれているからだと思います。

美味しいものを食べた時の表情。

座り方、走り方、くぐり方、昼寝の仕方。

威嚇する時の表情に、逆立つ毛並み。

そのどれもが、街中で目にするネコそのもの。

そのリアルさが、見ている人をネコの世界に入り込ませてくれ、ネコ生活がより魅力的に映るのだと思います。

不思議過ぎるネコとの出会いによって、ネコの世界へと入り込ませてくれる。

ネコになりきって、街の中を歩き回れる不思議な絵本です。

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